ガスパイプライン爆破事件 ポーランドも容疑者のドイツ移送を拒否

ドイツとロシアを結ぶガスパイプライン「ノルド・ストリーム」と「ノルド・ストリーム2」が2022年に爆破された事件で、ワルシャワ地方裁判所は17日、9月にワルシャワ近郊で逮捕されたウクライナ人の男性ダイバー(46)について、ドイツへ移送しないと決定した。 ポーランドメディアによると、裁判所は、ウクライナ人がロシアのインフラ施設を国家の防衛戦争のために攻撃することは「犯罪にはならない」と説明した。捜査の終結を宣言し、容疑者の釈放を命じた。 このダイバーを巡っては、ポーランドのトゥスク首相が今月7日、自国の「利益にならない」としてドイツへの移送に反対する考えを表明していた。ポーランドはロシア産ガスへの依存度を高めるノルド・ストリームに建設当初から批判的だった。トゥスク氏は17日にもX(ツイッター)で裁判所の決定を「正しい」と支持した。 事件を巡っては、このダイバーを含めたウクライナ人グループ6人が関与したとされ、独捜査当局が逮捕状を発行していた。イタリアで8月に逮捕された首謀者とみられる元将校(49)も、ドイツへの移送が停止されている。6人のうち2人がドイツで裁判を受ける見込みが薄くなったことになり、ウクライナの国家レベルでの関与を含めた真相解明が遠のいている。【ベルリン五十嵐朋子】

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