この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 先週、わたしは50歳の誕生日を祝った(そう思ってくれ)。これは一つのマイルストーンであり、振り返りの機会でもある。わたしはそれを……やりすぎるくらいやる。過去50年間、おそらく過去500年間よりも多くの技術革新と破壊が起きたのではないか。 両親が離婚した年、わたしは夏をシカゴの父と過ごした。週末には、父の都心のオフィスに行き、WATSライン(注:Wide Area Telephone Serviceの略で、1960年代から1980年代にかけて企業が利用していた定額制の長距離電話サービス)を使って母に電話をかけたものだ。長距離電話は1分4ドルだった。母親と話すためなら、1時間もかけて電車で都心まで行く価値は充分にあったというわけだ。 イノベーションの周期がさらに加速するなら、今後15年でこれまで以上の劇的な変化が訪れるかもしれない。イノベーションが光速に達した暁には、かつてない繁栄と危険が同居する世界が待っているだろう。神にも匹敵する技術が、われわれの原始的な本能や時代遅れの制度と激突することになるのだから。