金沢中署が10月に発表した詐欺被害は18件で、月別で過去最多となった。特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺で、被害額は約9380万円に上った。「あなたに逮捕状が出ている」「オーロラを見に行こう」。警察を名乗ったり、恋愛感情に付け込んだりと、手口が多様化している。 金沢中署が10月に発表した詐欺被害の内訳は、特殊詐欺が11件で被害額は計5854万円、SNS型投資・ロマンス詐欺が7件計3526万円だった。被害に遭った人を世代別にみると、50代が6人と最も多く、60代5人、70代3人、20代2人、30代と40代が各1人と続いた。 10月は、警察官や検察官をかたった「オレオレ詐欺」の被害が6件4810万円と目立った。「あなたが犯罪に関わっている可能性がある」などと脅すケースが多い。70代男性が約700万円をだまし取られた事案では「捜査員がお金を取りに行く」などと連絡があった。男性は指示通り自宅敷地内の車の下に現金を置いたところ奪われた。 ●1〜9月分超える 恋愛感情や親近感を抱かせて金銭を詐取する「ロマンス詐欺」は4件3296万円となり、被害額は10月だけで1〜9月の2800万円を超えた。いずれも、SNSでやり取りするだけで実際に犯人と被害者が面会したケースはなかった。 60代男性は、女性を名乗る人物から「アイスランドにオーロラを見に行こう」と言われ、旅行資金名目などで1480万円をだまし取られた。70代女性は日本人男性をかたる人物から、送金前に「愛しています」と書かれたメッセージ付きの花束を贈られ、信用してしまった。 止まらない詐欺被害に金沢中署の担当者は、啓発活動を強化する考えを示した上で「少しでもおかしいと感じたら警察に相談してほしい」と呼び掛けている。