「容疑者は絶対このリストに」 遺族執念26年、応えた捜査 愛知主婦殺害

名古屋市西区のアパートで1999年に高羽奈美子さん=当時(32)=を殺害された夫悟さん(69)は昨年、愛知県警のある捜査員が発した言葉に「この刑事なら」と感じたという。 「容疑者はこのリストの中に絶対いる」。私財を投じて現場を保存し、情報提供を呼び掛けるビラを配り続ける悟さんの執念は、捜査員の誰もが知る。思いに応え、地道に積み上げた捜査が容疑者逮捕に結び付いた。 「26年間お待たせして申し訳ありませんでした」。先月31日の昼下がり、悟さんは捜査本部が置かれた西署に急きょ呼び出され、捜査幹部らにこう切り出された。 目頭を熱くして「本日夜、容疑者を逮捕します」と告げた一人は昨年4月以来、顔見知りになった捜査員だという。着任あいさつに来た際、「私が解決します。犯人はこのリストの中に絶対います。捜査をつぶし切れていないだけで一軒一軒つぶしていきます。だから何度も聞きに来ます」と宣言。悟さんの元に足を運んでは当時の年賀状がないかと尋ねてきた。「この刑事は解決してくれるかもしれない」と思ったほどだ。 捜査幹部によると、県警は昨年、これまでの捜査を洗い直し、DNA型鑑定などができていなかった数百人をリストアップ。安福久美子容疑者(69)も名前が挙がり、今年8月から任意で事情聴取した。同容疑者は先月30日、それまで拒んでいた鑑定に応じ、出頭。現場の血痕と型が一致し、悟さんが呼び出された日に任意同行を求められ逮捕された。 悟さんは「宣言通りでびっくりした」と明かす。ただ、その人物は悟さんが高校、大学時代の一時期、好意を一方的に寄せられていた同級生。想定した中で「最悪の結末」だった。悟さんは「家内が殺されるほど、私はひどいことをしましたか。うそ偽りなく話してほしい」と訴えている。

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