鎮静剤「エトミデート」を販売目的で持っていたなどとして、沖縄県警は13日までに福岡市博多区の無職の男（21）を医薬品医療機器法違反（販売目的貯蔵）などの疑いで逮捕し、発表した。沖縄県警によると、男は県内を拠点に活動する「匿名・流動型犯罪グループ（匿流）」で違法薬物密売組織の「69（シックスナイン）」トップ。県内の若者たちの間で流行したエトミデートの大半は、同グループが密売していたという。 県警組織犯罪対策課によると、シックスナインのメンバーは県内の10〜20代の若者が中心で、最大で100人ほどがいた。シックスナインはエトミデートのほか、大麻リキッドやMDMAなどの違法薬物を密売していたとみられる。エトミデートを販売目的で所持していた疑いでの逮捕は、全国初という。県警は、暴力団の関与の可能性も視野に詳しく調べている。 男は今年3月25日、当時住んでいた浦添市仲西の自宅で、エトミデートを含む液体約63・84グラムを販売目的で貯蔵した疑いがある。同課は認否を明らかにしていない。 同課は昨年6月、シックスナインの存在を把握し、捜査を進めていたという。男の関与が疑われた別件の恐喝未遂事件に絡んで男の自宅を家宅捜索した際、液状のカートリッジが約30個見つかった。薬物鑑定したところ、エトミデートと確認されたという。10月2日に福岡市の自宅で大麻を所持したとして麻薬取締法違反の疑いで現行犯逮捕され、同23日にエトミデートを販売目的で貯蔵した疑いで再逮捕された。 グループ内では秘匿性の高い通信アプリ「シグナル」や「テレグラム」を主に使用し、密売は口コミに加え、X（旧ツイッター）などのSNSを使っていたという。 エトミデートは海外では医療用として使用されるが、過剰摂取すると手足がけいれんすることなどから「ゾンビたばこ」とも呼ばれる。指定薬物となった5月以降、沖縄県内を中心に摘発が相次ぎ、9月末までに県内ではエトミデートの所持で10人が逮捕、書類送検された。うち大半はシックスナイン関係者から購入していたという。