不動産管理会社の株主権巡る訴訟で株券など偽造疑い 「乗っ取り」企図か、男女3人を逮捕

不動産管理会社の株主権を巡る訴訟で、株券などを偽造して裁判所に提出したとして、警視庁暴力団対策課は、有価証券偽造・同行使などの疑いで、職業不詳の松沢泰生容疑者(74)=東京都渋谷区=ら男女3人を逮捕した。暴対課は認否を明らかにしていない。 ほかに逮捕されたのは、いずれも職業不詳の沢田洋一(76)=新宿区、斎藤ゆかり(60)=目黒区=の両容疑者。 3人の逮捕容疑は、共謀して、令和5年3月と6年1月、不動産管理会社「ハナマサ」(東京都世田谷区)の株主権を巡る訴訟を有利に進めるため、松沢容疑者を譲受人とする株式譲渡契約書と株券を偽造し、東京地裁に提出したとしている。 暴対課によると4年12月、ハナマサが所有する埼玉県東松山市の約4万平方メートルの土地が物流関連企業に10億円超で売却され、うち約8億円が松沢容疑者の関連法人2社に流出していた。登記によると、松沢容疑者は5年1月に同社の代表に就任。ハナマサの元代表の60代男性から同月、「会社を乗っ取られる」と警視庁に相談があった。 ハナマサは昭和53年に設立。かつて食品スーパーなどを運営していたが、別法人に事業を譲渡し、現在は不動産管理会社となっている。 ■「ハイエナ」異名持つ容疑者、ねらいは? 「資本のハイエナ」「希代の詐欺師」-。過去にも複数の経済事件で摘発を受けてきた松沢泰生容疑者は、金融業界などではこう評され、警戒されていた。 「戦後最大の経済事件」といわれた東京佐川急便事件では平成4年、当時の同社社長らとともに東京地検特捜部に摘発され、特別背任罪で懲役5年の有罪判決を受けた。中華レストラン大手「東天紅」の株式公開買い付け(TOB)を巡る証券取引法違反事件(12年)にも関与したとされる。かつて交流のあった関係者は、「佐川急便事件当時は高級外車を乗り回し、羽振りの良さをみせていた。利用できる人間には笑顔で取り入る『やり手』として知られていた」と明かす。 ハナマサの代表権争いを巡り、反社会的勢力の存在をちらつかせることもあったという松沢容疑者。警視庁は、事件の詳しい経緯や目的などの解明を進める。(海野慎介)

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