【判決】「性被害を減らしたい」女子中学生にわいせつ行為をした偽カメラマン被告の“反省なき言動”

「かわいい服、かわいいソックスを撮りたいから声をかけます。ポーズのこだわりは、後ろを振り返ったポーズと座りポーズは必ず撮りますね」 「写真を撮らせてください」と声をかけ、女子中学生Aさん(当時13歳)にわいせつな行為をしたとして、不同意わいせつの罪に問われていた男に判決が下された。 11月6日、東京地裁で開かれた判決公判で、石川貴司裁判官は、山田裕三(ひろみ)被告(逮捕時55歳)に「懲役2年(求刑2年6ヵ月)」を言い渡した。 これまでの公判での彼の言動を見れば有罪判決は妥当だろう。公判でのやり取りから事件を振り返りたい。 事件が起きたのは’24年8月中旬のことだった。山田被告は「好みの子が多い」という理由で、普段から池袋のアニメショップや乙女ロードを徘徊し、目についた女の子に「写真を撮らせてください」と声をかけていたという。Aさんに声をかけた日のことを、山田被告はこのように振り返っていた。 「(Aさんの)見た目がおしゃれだったんで、写真を撮りたいなと思って『お洋服かわいいね。ぜひ、写真撮らせてくれませんか?』って声をかけました。自分のことは、お洋服とか靴下の写真を撮ってる人って感じで説明したと思います。 (Aさんは)初めは『時間がない』と嫌がっていたんですが、『顔は撮らないから』とか、『首から下だけでいいから』と話したりしてるうちに、やっと『少しの時間ならいいですよ』と了承してくれました」 山田被告は冒頭のように、いかにもカメラマンっぽくこだわりを語ってもいた。 しかし、Aさんは知る由もなかったが、このとき山田被告はやはり未成年者へのわいせつ行為で執行猶予中の身だったのだ。山田被告は’23年7月に埼玉県警に強制わいせつの疑いで逮捕され、その年の10月19日に迷惑防止条例違反で懲役1年2ヵ月、保護観察付き執行猶予4年の判決を受けていた。 ◆前回逮捕の反省から“同意書”を書かせた 山田被告は撮影と称して、公園を3ヵ所、連れ回したが、2つ目の公園でAさんにスマホを見せ、同意書にサインを求めた。そこには、このようなことが書かれていたという。 〈甲は乙の言うことをきちんと理解して、次のことを誓います。 頭のてっぺんからつま先まで、触ることを許可いたします。 すみずみまで撮影することを許可します。 このことを決して他人に言うことはいたしません〉 山田被告はこの同意書について「ポーズを直すときに体に触れてしまうことがあって、一昨年に警察に注意されましたので、許可を得るためにサインをもらうようにした」と前回の逮捕の反省から作成したと述べていた。 一方、Aさんはこの同意書について「これは相当にヤバいなと思って、家に帰ったらとにかく両親に伝えようと思いながら、偽名でサインしました」と証言している。Aさんの予感は的中した。この直後に山田被告はAさんの衣服の中に手を入れ、下半身などを触るなどわいせつな行為に及び、約3ヵ月後の11月5日に警視庁池袋署により逮捕されることになったのだ。 ◆「性加害、性被害を減らしたい」 逮捕直後は、容疑を認めていた山田被告だが、その後、「Aさんの足や体は触ったが、下半身は触っていない」と一部否認している。その理由は、「事件があった日の前後にも、女性に声をかけて体を触らせてもらったので、どの子のどこを触ったのかわからなくなっていた」という、あきれたものだった。 さらに、「なぜ脚がきれいな人という基準があったのか」という弁護人の質問に、わざとらしい小声で「脚フェチだからです」と答えるなど、おどける様子すら見せており、笑顔で軽口を叩く場面も見られた。このように山田被告の言動は、自身の犯行が被害者のAさんにどんな影響を及ぼしたのかを自覚し、反省しているとはとうてい思えなかったのだ。 また、自身を「性嗜好障害」だと分析し、専門医の治療を受けて社会復帰した後は、NPO法人で未来の加害者や被害者を減らす運動をしたいと話していた。「私自身の経験を活かして、こういう姿形の子はこういうふうに誘われやすいとか、文章などで発信したいなと思っています」などと、語っていたが、どこまで本気だったのか。本気で言っていたとしても、そこには被害者の感情がまったく置き去りにされているように感じてならない。 例えば、Aさんは帰宅して両親に被害を打ち明けたときのことを、このように証言している。 「お母さんに話しながら、すごく泣いて、過呼吸気味になりながら、あったことを全部話しました。誰かに全部、伝えられたことで安心して泣いてしまいました」 山田被告は、保護観察所で受けた性犯罪再犯防止プログラムについて、「内容がちょっと理解できなかったですね。相手の気持ちになって考えるというのが、すごく難しいと思いました」と述べていた。 このまま控訴しなければ、執行猶予は取り消されて3年ほど服役することとなる。だが、「すごく難しい」からと、被害者がどれほどの心の傷を負ったか想像すらできないようであれば、未来の加害者を減らすどころか、再び自身が未来の加害者になるのではないだろうか。 ※「FRIDAYデジタル」では、皆様からの情報提供・タレコミをお待ちしています。下記の情報提供フォームまたは公式Xまで情報をお寄せ下さい。 情報提供フォーム:https://friday.kodansha.co.jp/tips 公式X:https://x.com/FRIDAY_twit 取材・文:中平良

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