ニューヨーク市長は、「アメリカで二番目に難しい仕事」と呼ばれる。ニューヨークの突出した経済規模、それを支える膨大な数の企業、多様性を極める人口、多くの富豪たち、貧困、マフィア、しょっちゅう問題になる警察、犯罪… これらが生み出す複雑さ、インパクトは、アメリカのどの都市とも比べようがない。さらに、ニューヨーク市長は、政治家ということを超えて、このユニークな街の文化を体現する象徴的存在と見なされる。 そして現在、ニューヨーク市長職の「難易度」はさらに上がった。ホワイトハウスの住人もまたニューヨーク出身であり、ニューヨークへの思い入れ(怨恨も含めて)が強い人物だからだ。 11月4日、ニューヨーク市民は、政治の世界でのマネジメント経験が全くない34歳の州議会下院議員をリーダーに選んだ。政治家として未知数であるにもかかわらず、前知事のクオモに18万票以上の差をつけて勝利したマムダニは、「不可能を可能にした人」として一躍時の人となり、今アメリカで最も話題になっている政治家と言っていい。だから、マムダニのホワイトハウス訪問(マムダニから依頼した)は、発表以来、必然的に注目を集めていた。