香港新界大埔区の高層マンション群「宏福苑(Wang Fuk Court)」火災惨事現場に対する当局の1次捜索が完了した。今回の火災で確認された死亡者は159人に増え、数十人は依然として行方不明だ。 サウスチャイナモーニングポスト(SCMP)によると、香港警武処(警察庁)傘下の災難被害者身元確認チーム(DIVU)は3日、「火災の被害が集中した7棟全体の捜索を終えた」と明らかにした。救助隊は現場で3人の遺体を追加で収拾し、死者は156人から159人に増えた。 死者159人のうち140人は身元が把握された。男性49人、女性91人で、最年少は生後1歳、最高齢は97歳。残りの19人は身元確認手続きが進行中だ。病院で治療中の負傷者は37人で、うち4人は重体だ。 宏福苑は1983年に竣工した8棟・1984世帯規模のマンション群。昨年から老朽化補修工事が進められ、1棟の下層の防護網で始まった火が窓外部の発泡スチロールと竹製の足場に移って短時間で上層部に広がった。8棟のうち7棟に被害が生じた。 香港開発局は今回の火災拡大の原因に挙げられた工事現場の防護網に対する緊急点検に着手した。リン開発局長は「市内の建物およそ300カ所に設置された防護網を6日まで全面撤去するべき」と指示した。防護網のサンプルを政府指定の実験室でテストする手続きも導入される。 香港警察は過失致死容疑で15人を逮捕したのに続き、火災警報体系の担当者6人を追加で逮捕した。補修工事期間、火災警報システムが正常稼働するよう関係当局に虚偽報告した容疑を受けている。 また、警察は詐欺疑惑で32歳の男を逮捕した。この男は今回の惨事で家族が死亡した被害者のように振る舞い、住民から2万5500香港ドル(約50万円)を受けたことが明らかになった。 当局は被害規模が比較的少ない棟の住民に限り、世帯への出入りを2日間、一日2人ずつ許容した。各世帯は最大で90分間、物品を収拾することができる。 今回の火災は1948年の倉庫火災で176人が死亡して以来、香港での最悪の大惨事となった。衝撃がまだ続いているが、香港政府は7日に予定された立法会(国会格)選挙を強行する。ロイター通信は「地域社会のショックは続いていて、低い投票率が予想される」と伝えた。