高市早苗政権は、外国人の在留資格の審査を厳しくする。在留資格の中で最も多い永住者の許可要件の厳格化を検討。一定の社会保険料の未納があれば在留資格の更新や変更を認めない措置も取る見通しだ。来年1月の外国人政策の基本方針の取りまとめに向け、政府と自民党で議論が進んでいる。 ■外国人比率「10%」推計 党外国人政策本部(新藤義孝本部長)は年明けに、議論を踏まえた提言を首相に出す。党の提言や政府の有識者会議の意見を受け、高市内閣として基本方針を策定する。 焦点の一つが在留資格の審査の厳格化。日本の総人口に占める外国人比率は現在3%で、将来的に10%になるとの推計があり、社会の混乱や摩擦が懸念されるからだ。 出入国在留管理庁によれば、さまざまな在留資格の中で「永住者」は23・6%(6月末時点)を占める。永住許可を厳格化する案がある。 永住資格を得る要件の一つに「最長の在留期間を有していること」がある。現行法で「最長」は主に5年だが、入管は5年でなくても3年の在留期間を有していれば「最長」の要件を満たしたとみなす経過措置を取っている。この規定の「廃止」を検討する。 ■急増する「技人国」 在留資格の中で永住者に次いで多いのが「技術・人文知識・国際業務」(技人国)で11・6%。技術者や営業、法務、通訳、語学講師など専門職のための在留資格で、この5年で1・6倍に急増している。 事業者がこの資格を悪用して外国人を雇い、資格外の単純作業などをさせるケースが相次いでいる。警視庁は11月、技人国の資格で滞在するインド人を野菜の加工など資格外業務に従事させたとして事業者の代表らを逮捕した。 政府は資格外業務を防ぐため、実態調査や審査手法の強化を図る方針だ。合わせて受け入れ数に上限を設けるべきだとの主張が自民内にある。 ■マイナンバーで未納把握 外国人は、特に国民健康保険の納付率が低い。厚生労働省によると納付率は平均63%にとどまり、日本人を含む全体の93%を大きく下回った。首相は「国民が不安や不公平を感じる状況が生じている」と指摘している。 政府はまず、社会保険料や税の未納を把握する。自治体や国が管理している納付情報について、令和9年度以降はマイナンバーを活用したシステムを通じて入管とも共有する。一定の国保の保険料未納がある外国人の在留資格の更新・変更を認めない方針だ。(田中一世)