イラン女性活動家を処刑しないよう要請 国連専門家や著名女性400人

国連の専門家と、政治家やノーベル平和賞受賞者などの著名な女性400人が、イランに対し、電気技師で女性の権利活動家であるザフラ・タバリ氏(67)を処刑しないよう求めている。 タバリ氏は今年4月に逮捕された。家族によると、禁止されている反体制組織「ムジャヒディン・ハルク(イスラム人民戦士機構、PMOI)」と共謀したとされた。 10月には、ラシュトの革命裁判所で「武装反乱」の罪で有罪判決を受けた。審理はビデオリンクで行われ、10分未満で終了した。家族は、判決が極めて限られた信頼性の低い証拠に基づいていると述べている。その証拠は、「女性、抵抗、自由」と記された布切れと、未公開の音声メッセージだったという。 イラン当局はこの件についてまだコメントしていない。 国連の専門家によると、イランでは少なくとも51人が、武装反乱を含む国家安全保障関連の罪や「神への敵意」の罪、「地上に腐敗を広めた」罪、スパイ罪などで有罪とされて死刑に直面している。 ■イランでの死刑は前年比70%増加 国連人権理事会の「イラン人権状況」、「女性・女児に対する暴力、その原因と結果」、「超法規的、略式および恣意(しい)的処刑」に関する各特別報告者と、「女性と女児に対する差別に関する作業部会」のメンバー5人は共同声明で、タバリ氏の事例が「国際人権法の重大な違反のパターン」を示していると警告した。 専門家らによると、タバリ氏は司法令状なしの家宅捜索を受けて逮捕され、1カ月間独房で拘束されながら尋問を受け、国家に対する武装蜂起や反体制組織への加入を自白するよう圧力をかけられた。 さらに、タバリ氏は希望する弁護士へのアクセスを拒否され、代理人は裁判所が選任した弁護士が務めたとされる。専門家らはまた、死刑判決が、短時間の審理の直後に言い渡されたと付け加えた。 「この事案における重大な手続き上の違反、つまり自由の違法な剥奪(はくだつ)、有効な法的代理人の拒否、極端に短い裁判、弁護準備に必要な時間の不足、そして武装反乱の罪を裏付けるには不十分と思われる証拠の使用は、そこから導かれるあらゆる有罪判決を不当なものにしている」と専門家は述べた。 専門家らはまた、国際法が死刑を、最も重大な犯罪である故意の殺人に対する刑罰に限定していると指摘した。 「この状況下でタバリ氏を処刑することは、恣意的な処刑に当たる」と専門家らは主張。「ジェンダー平等を求める女性の活動を犯罪化し、その表現を武装反乱の証拠として扱うことは、重大なジェンダー差別に当たる」と述べた。 23日には、複数のノーベル賞受賞者や、スイスとエクアドルの元大統領、フィンランド、ペルー、ポーランド、ウクライナの元首相を含む、400人以上の著名な女性たちが、タバリ氏の即時釈放を求める公開要請書に署名した。 「イランは現在、人口比で世界で最も女性を処刑している国だ。ザフラ氏の事例はこの恐怖をあらわにしている。イランでは、女性の抑圧への抵抗を示す看板を掲げることが、今や死刑に値する」と要請書は述べている。 この要請は、イギリスを拠点とする団体「イラン1988年大虐殺の犠牲者のための正義」によって組織された。同団体は、30年前にイランで処刑された数千人の政治犯の遺族を代表している。 イラン人女性で、クルド人の権利活動家でソーシャルワーカーのパクシャン・アジジ氏も、タバリ氏と同じ罪で死刑に直面している。 国連の専門家らは以前、アジジ氏の判決が「イラクとシリアでの難民支援を含む、ソーシャルワーカーとしての正当な活動にのみ関連しているように見える」と述べていた。 ノルウェーに拠点を置く人権団体「イラン・ヒューマン・ライツ(IHR)」によると、イランでは今年、11月末までに少なくとも1426人が処刑され、うち41人が女性だった。これは、前年同期比で70%の増加だ。 同団体によると、処刑された人のほぼ半数は薬物関連の罪で、53人は国家安全保障関連の罪で、それぞれ有罪判決を受けていた。 (英語記事 UN experts urge Iran to stop execution of woman activist)

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