乾燥大麻を所持したとして、麻薬取締法違反罪に問われた俳優、清水尋也被告(26)に19日、東京地裁で有罪判決が言い渡された。映画『東京リベンジャーズ』や『ちはやふる』、NHKの連続テレビ小説『おかえりモネ』に出演するなど、将来を嘱望された気鋭の若手が落ちた違法薬物の沼。甘い認識で手を出したことによる代償はあまりにも大きかった。 ■知人にカネを渡して買いに行かせていた 「俳優をやっています」。今月8日の初公判に姿を見せた清水被告は、裁判官から職業を問われ、はっきりとした口調でこう答えた。黒のスーツ姿で、11月に警視庁東京湾岸署から保釈されたときよりも髪を短く整え、落ち着いた様子に見えた。 被告は9月、自宅で乾燥大麻を所持したとして、同居していた交際相手の女性とともに警視庁に逮捕された。 13歳でデビューした被告が初めて大麻を吸ったのは、検察側の冒頭陳述などによると米国に語学留学していた20歳のころ。語学学校の友人に勧められたのがきっかけで、遅くとも22歳のころには日本国内でも吸うようになった。 検察側は俳優である自身が売人と顔を合わせるわけにはいかないと考え、知人にカネを渡して買いに行かせていたと指摘。ドラマや映画の撮影が少ない時期には、週に1回程度大麻を吸っていたという。 ■ファンら裏切り「後悔しきれない」 被告人質問では、家族や仕事の関係者、ファンらに対し、「裏切ってしまったことを後悔してもしきれない」と語った被告。しかし、「やめようと強く思ったことはそんなになかった」との発言からは、認識の甘さもうかがえる。 大麻を所持していた理由について問われると、「(俳優業の仕事に)プレッシャーを強く感じていた」と返答。「思いつめてしまっているとき、力が抜けて寝つきがよくなる効果があった」という。 被告は最終意見陳述で「心配と迷惑をかけ、深く反省している。責任ある行動を心掛けて生活するつもりです。本当に申し訳ありませんでした」と頭を下げた。 19日の判決公判で、宮田祥次裁判官は拘禁刑1年、執行猶予3年(求刑拘禁刑1年)を言い渡した。判決理由で宮田裁判官は、犯行前にも使用頻度が上がり、依存性も生じつつあったとして、「その刑事責任は決して軽くない」と指摘。更生に向けた取り組みを始めていることなどを考慮して執行を猶予するとした。