高市早苗首相は、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の拘束をめぐり、声明を出さず慎重な姿勢を取っている。2日にドナルド・トランプ大統領と電話会談してからわずか1日後に起きた出来事だけに、軽率な対応をすれば米日同盟に影響を及ぼしかねないという判断からだ。 共同通信は4日、高市首相がトランプ大統領の決断を支持するかどうか、難しい対応に迫られていると伝えた。マドゥロ大統領の逮捕・連行作戦には国際法違反の可能性があり、支持することも、これまでトランプ大統領との信頼関係構築に力を注いできた経緯から批判することも難しいということだ。 2日の電話会談直後、高市首相は自ら記者団に対しトランプ大統領との会話内容を説明し、強固な米日同盟、韓米日の連携を強調した。高市首相は「米国が建国250周年を迎えることに対して祝意を伝えた」とした上で、「ウクライナや中東など、世界各地での平和を実現するためのトランプ大統領の外交努力に対し、改めて敬意を表した」と説明した。春の訪米に向けて具体的な日程調整を行っていることも明らかにした。中日関係が緊張する中、4月にトランプ大統領が訪中を予定している一方、日本として先に米国を訪れる考えだ。 早ければ3月にも米国を訪れ、トランプ大統領との首脳会談を推進する。防衛費増額を直接説明し、対米投資を具体化して「信頼関係」を強化する構想だが、ベネズエラ攻撃への対応次第では両国間に亀裂が生じる可能性があるとの懸念も出ている。 国家安全保障会議(NSC)開催を検討するなど、熟慮を重ねている高市首相は、マドゥロ大統領拘束に対するG7(主要7カ国)各国の対応を見極めた上で判断するとされる。トランプ大統領だけでなく、日本政府が神経を尖らせているのは中国とロシアだ。国際法違反の可能性がある今回の米国の攻撃を支持または容認した場合、ロシアや中国に「国際法を無視してもかまわない」という誤ったシグナルを与えかねないという懸念がある。外務省幹部は共同通信に「これまで日本は法の支配に基づく主権や領土の一体性を主張してきた」とし、「国際法と日米関係の双方の観点から、日本の立場をどう表明するか考えなければならない」と述べた。 日本政府がベネズエラに関して立場を表明したのは昨年1月のことだ。マドゥロ大統領が就任式を行うと、日本を含むG7外相は共同声明を通じて「大統領就任には民主的正統性が欠けている」とし、「マドゥロ氏が継続的かつ抑圧的に権力を掌握することを拒否する」と表明した。米国とベネズエラ間の緊張が高まった昨年12月には、ベネズエラ全土に対する危険情報をレベル3(渡航中止勧告)へと引き上げた。ベネズエラに在留する日本人は約160人で、外務省は現地に対策本部を設置し、動向を注視していると明らかにした。 一方、高市首相は今年、マドゥロ大統領逮捕をめぐる立場表明を皮切りに、中日対立など外交課題に直面するとみられる。1月には李在明(イ・ジェミョン)大統領と、地元の奈良で首脳会談を行い、韓日関係改善の流れを継続していく予定だ。北朝鮮による日本人拉致問題解決に向け、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長との会談も推進する。6月にはフランスで開かれるG7首脳会議に出席する予定だ。注目されているのは、11月に中国で開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議を契機とする習近平国家主席との首脳会談だ。昨年11月の「台湾有事の際の軍事介入」示唆発言で中国との関係が悪化し、日本は議長国として韓中日首脳会談の調整を進めていくことができなくなった。