国民注目の箱根駅伝 選手の走りより犬の走りが注目されるようではいけない

【ベテラン記者コラム】実家が鎌倉なので、正月2、3日の箱根駅伝は幼少の頃からなじみがあるし、国道134号線は普段からよく通る道だ。それだけに往路の3区(戸塚~平塚=21・4キロ)で起きた「ポメラニアン乱入」騒動には驚いた。 3区の15キロ過ぎ、サザンビーチちがさき近くの134号線で白の小型犬がコースに入ってしまい、なかなかの全力疾走で白バイと並走。警察官がつかまえようと追いかけ回す事態になった。このとき通過していた国学院大の野中恒亨(3年)がインスタグラムのストーリーズに「ポメラニア~ンジャーンプ」の文言とともに、犬を避けながら走っている写真を投稿し、大きな話題になった。 写真の野中はかなり体勢を崩していたが、幸いにも大事なく区間3位で走り切り、国学院大史上最高の総合2位に貢献した。とはいえ、一歩間違えれば転倒したり捻挫してもおかしくない状況。4区を走った辻原輝(3年)はXに「少し毛が多めの家族を連れていきたい方々へ」とユーモラスな書き方で投稿し、「必ずリードやハーネスを付けてください」と注意を促した。 10年前の2016年元日の全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)の2区でも同様の騒動があり、影響はもっと深刻だった。先頭集団にいたコニカミノルタのポール・クイラ(現JR東日本)が沿道から飛び出してきた小型犬につまずいて転倒し、3位でたすきを受けた順位を12位まで大きく落としてしまったのだ。沿道の最前列にいた70歳の男性は右手に犬をつなぐリード、左手には孫と思われる子供を抱いているという、かなり危険なことをしており、何かの弾みでリードを手放してしまったようだ。 コニカミノルタは後続の選手が巻き返して優勝のトヨタ自動車とわずか21秒差の2位になっただけに、なんとも悔やまれることになった。同社は飼い主の男性から「誠実な謝罪」を受けたと発表したが、高崎警察署は動物愛護条例(係留義務)違反の疑いで男性を書類送検している。 マラソンコースへの乱入で思い出されるのは、2004年アテネ五輪の男子マラソンだ。36キロ付近、暴漢がコースに飛び出して、先頭を走っていたバンデルレイ・デリマ(ブラジル)に飛びつくという前代未聞の事件が起きた。デリマはけがこそなかったものの、一時はコースの外へ押し出されてタイムを大きくロス。直後の走りにも影響し、後続の選手に抜かれて3位に終わった。私も現地で取材しており、アテネの伝統あるパナシナイコ・スタジアムにあったプレスルームも大きな騒ぎになったのを思い出す。

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