恐喝・収賄で市職員を大量処分 「呪縛職場」にメスを入れた大阪・八尾市の険しい前途

同僚職員への恐喝に、葬儀業者からの収賄-。昨年末から市職員の事件や不祥事が相次いで発覚し、2事件で計3人が逮捕された大阪府八尾市。今年6月と9月に職員計13人の大量処分に踏み切り、うち4人を懲戒免職とした。逮捕者が出た2事件はいずれも市環境部。弁護士らによる第三者調査チームが市に提出した調査報告書は、「特殊な環境」「アンタッチャブル」と異常な職場状況を指摘した。市は再発防止に向け「うみを出し切る」と語るが、環境浄化への道のりは険しい。 ■「恐怖政治」兄弟に逆らえず 逮捕者が出た2事件のうち一つの現場は、市環境部で屎尿(しにょう)処理を担当する環境施設課。昨年12月、労働組合幹部の立場を利用し、定年退職する複数の同僚職員から寄付金名目で退職手当を脅し取ったとして、脅迫の疑いで当時技能長だった59歳と56歳の兄弟2人が大阪府警に逮捕された。市は今年9月12日付で2人を懲戒免職にした。 調査チームの報告書によると、同僚職員らは兄弟から1人当たり27万~295万円の退職手当を脅し取られる被害があった。一方、組合では使途不明金が約2400万円もあり、兄が何らかの形で私的に使い込んでいたことが分かったという。 また報告書は事件の背景として、兄弟が組合幹部を長年務め、屎尿回収の現場で「職員を支配する構図が生まれた」と指摘。「(兄弟に)人事権があり、恐怖政治。容易に逆らえない」という雰囲気が職員の間にあったとまで指摘した。 例えば、平成29年の組合定期大会で、兄弟は部下の職員が自身の結婚披露宴に招待しなかった点を問題視。恫喝(どうかつ)や罵詈(ばり)雑言を浴びせ、退職届を書くよう強要した上、土下座するよう求めた。この職員は兄弟によるパワハラを訴え、のちに鬱病を発症。定期大会に出席した別の職員らは「見せしめ」「つるし上げ」と恐怖感を覚えたという。 ■業者と癒着、20年超で現金1000万円 もう一つの現場は環境部に所属する市立斎場だ。今年5月、斎場利用者約3千人分の個人情報を漏らした見返りに葬儀業者から現金約40万円を受け取ったとして、加重収賄容疑などで斎場の現場トップだった男性技能長(59)=当時=を逮捕した。市は6月12日付で懲戒免職とした。

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