異例の「同一容疑立件」 元ナンバー2逮捕、指示系統解明で実現

佐賀県伊万里市で2011年、指定暴力団「九州誠道会」(福岡県大牟田市、現・浪川会)系組幹部ら2人が銃撃され死傷した事件で、福岡、佐賀、熊本、長崎の4県警合同捜査本部は29日、対立抗争中だった指定暴力団「道仁会」(福岡県久留米市)で当時ナンバー2の理事長だった坂本康弘被告(70)=別の殺人罪などで公判中=を殺人と殺人未遂、銃刀法違反の容疑で再逮捕した。捜査本部は、関連して28日に道仁会の元組員2人を同容疑で逮捕しており、逮捕者は3人目。 約15年前の暴力団抗争事件を巡り、殺人容疑などで逮捕された指定暴力団「道仁会」系元組員2人は事件直後にも同容疑などで一度逮捕され不起訴になっており、同一容疑で再び立件されるのは異例だ。 事件では指定暴力団「九州誠道会」(現・浪川会)系組幹部ら2人が死傷し、捜査本部は2011年7月までに殺人容疑などで道仁会系幹部や組員ら計8人を逮捕。佐賀地検は7人を不起訴処分とし、その中に元組員2人も含まれていた。 一方、唯一起訴された実行役の組員を無期懲役とした12年3月の佐賀地裁判決は「組織的に射殺を計画した」と認定。捜査本部も組織的な事件とみて、捜査を継続してきた。 だが、刑事手続きでは、不当な蒸し返しを防ぐために同一容疑での逮捕は1回までが原則で、その壁を突破するには新証拠の発見など特別な事情が必要となる。そこで捜査本部が着目したのは当時、道仁会のナンバー2として絶大な力を誇っていた坂本康弘容疑者=殺人容疑などで逮捕=を頂点とする「ピラミッド構造」の解明だった。 捜査本部は組織内部を知る複数の関係者に接触を重ね、坂本容疑者が事件の「指示役」として配下の元組員2人や実行役を動かしたとする新証言を入手したという。最初の逮捕時には不明だった「指示系統」を解明したことで異例の2回目の逮捕にこぎ着けた。 福岡県警には過去に、同様の手法で特定危険指定暴力団「工藤会」のナンバー2、田上不美夫被告(69)=殺人罪などで1、2審で無期懲役、上告中=を立件した実績があった。田上被告は北九州市の元漁協組合長射殺事件(1998年)で02年に一度逮捕され不起訴となったが、組織のピラミッド構造を明らかにした上で2回目の逮捕を実現させた。 捜査関係者は「暴力団事件では時間が経過し新たな供述などを得られることもあり、いくつもの証拠が複数の支えになり、逮捕に結びつく。逃げ得は許さない」と語る。

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