LGBTQ+迫害のロシアからフランスへ亡命 クィア・アーティスト、ジェナ・マービンが来日「クイーンダム 誕生」公開

LGBTQ+の活動が弾圧されるロシアに突如現れた次世代のクィア・アーティスト、ジェナ・マービンを追ったドキュメンタリー映画「クイーンダム 誕生」が1月30日公開を迎え、来日したジェナ・マービンとイゴール・ミャコチンがシネマート新宿での舞台挨拶に登壇した。 ロシアの首都モスクワから約1万キロ離れた極寒の田舎町・マガダンに生まれ、祖父母に育てられたジェナ・マービン。撮影当初わずか21歳。かつて強制収容所のあった町は現在も保守的で、ジェナは「クィア」であるがために暴力や差別の標的とされてきた。その痛みやトラウマを、「アートという武器」に変えたジェナの芸術性はTikTokで支持を集め、「VOGUE RUSSIA」誌面にも登場するなど注目を集めた。監督は、ロシア出身でフランス在住のアグニア・ガルダノバ。 「日本に来れてとてもうれしく、エキサイトしています」とジェナ。本作はアメリカの映画批評サイト「Rotten Tomatoes」で批評家支持率100%というスコアを記録、ヨーロッパを中心に世界展開されている。「2023年末から映画とともに世界各国を回っています。スペインでは上映後、温かい声をかけていただき、また文化に貢献したという賞をいただきました。ロシアでは社会の中で孤独を感じていたので、このような賞をいただけて感激でした。また、映画と一緒に旅することで東京に来れたことにも感謝しています」と振り返る。 「チェチェンへようこそ ゲイの粛清」も手掛けたプロデューサーのイゴール・ミャコチンは「2022年に製作した『チェチェンへようこそ』では、若いLGBTQ+の人たちが迫害されていることを描きました。この『クイーンダム 誕生』は、2023年の公開ですが、それから状況は急激に変わり、悪い方向に進んでいます。ロシアの最高裁判所は、LGBTQ+不法であり、過激派、テロリストと同等の扱いをしています。レインボーの旗を掲げただけで逮捕されたり、家族を失ったり、出国を余儀なくされたりと多くの人々の暮らしが失われています」と現状を報告。 そして、「この映画では、LGBTQ+のみなさんに安心感を与えたい、あなたの声は届いており、重要な存在で、自分を大事にして、健康で生き続けること、プーチンがどんな政策をとったとしても私たちを根絶することはできませんと伝えたいのです」と力を込めた。 過激で独特なコスチュームとメイクをまとい、社会の無関心と差別、ウクライナ侵攻にNOを突き付けるジェナのパフォーマンスは現在のロシアでは命を危険にさらす行為であるが、自らの存在をかけて抗議を続けている。 最後にジェナは「この映画が公開されてから、ウクライナで戦争が始まったのでフランスへ亡命しました。難民として申請し、その資格があるかどうかの取り調べも受けました。フランスでの短期ビザの取得を助けてくれた女性から、『何があっても言葉を発信し続けてください。今、ロシアで何が起きているのか伝えてください』と言われました。私は、家族や友人が受けてきた痛みを伝えていくこと、難しいテーマですが、愛とは何か、そして、成長し続け、何事も十分ということはないこと。自分の心の声をよく聞いて、従うこと。それが私が皆さんに伝えたいメッセージです」と観客に語りかけた。 「クイーンダム 誕生」は、26年1月30日からシネマート新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷、アップリンク吉祥寺ほか全国公開。

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