「退職代行モームリ」代表らを逮捕 報酬目的で法律事務を紹介の疑い

警視庁は3日、本人に代わって退職の意思を伝えるサービス「退職代行モームリ」の運営会社代表の谷本慎二容疑者(37)=東京都中野区=ら2人を、弁護士法違反容疑で逮捕した。弁護士資格がないのに、退職希望者と勤務先との間の法律的な交渉を弁護士事務所に報酬目的であっせんした疑いがあるという。捜査関係者への取材でわかった。 運営会社は「アルバトロス」(東京都品川区)で、他に逮捕されたのは同社従業員の谷本志織容疑者(31)=中野区=。捜査関係者によると、2人は他の者らと共謀して、2024年7月上旬~同年10月下旬、退職希望者6人に関する法律事務を弁護士らに紹介した疑いがある。アルバ社は、退職希望者計約200人を弁護士らに紹介し、計数百万円のあっせん料を得ていたという。 ■報酬は「労働環境改善組合」への「賛助金」の名目か あっせん料は広告業務委託費や、アルバ社側の「労働環境改善組合」への「賛助金」の名目で振り込まれていたという。発覚を免れるために、弁護士からの報酬の受け皿として組合を使っていたと警視庁はみている。 アルバ社は、24年8月のプレスリリースで「労働組合法適合の資格証明を受けた『労働環境改善組合』と提携している」とサービスを紹介していた。 警視庁は25年10月、アルバ社のほか、同社の顧問弁護士が所属する都内の二つの弁護士事務所などに家宅捜索に入っていた。弁護士側の関与についても捜査を進めている。 弁護士法は、弁護士資格を持たない人が報酬を得る目的で、法律にかかわる交渉を第三者に繰り返しあっせん(非弁周旋)することや、弁護士があっせんを受ける(非弁提携)ことを禁じる。法律知識が不十分な人が関与すると、依頼者が本来の権利を主張できず不利益を受ける恐れがある。 モームリは、本人に代わって会社に辞める意思を伝えるサービス。公式サイトなどによると、電話やLINEなどで24時間365日相談を受け付け、勤務先への連絡や退職手続きを代行するもので、22年3月に始まった。 ■「お金の受け渡しはない」 逮捕前に違法性を否定 料金は正社員2万2千円、パート・アルバイトは1万2千円。サイトでは「累計4万件以上の退職を確定させた実績とノウハウ」「労働事件に強い顧問弁護士をご紹介」などとうたっていた。 朝日新聞は退職代行サービス業界の取材を進める中で、25年3月、谷本慎二容疑者に話を聞いていた。 取材に対して「全てオープンにやっている」「弁護士との間でお金の受け渡しはない」などとして事業に違法性はないと主張していた。(太田原奈都乃、根津弥)

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