アメリカで性犯罪で有罪とされた米富豪ジェフリー・エプスティーン元被告(故人)に関して米司法省が公開した大量の資料の中に、元被告が言語学者のノーム・チョムスキー氏(97)に助言を求めていたことを示すものが見つかった。元被告は、自らの性的人身取引疑惑をめぐる「腐敗した」メディア報道について、チョムスキー氏に考えを尋ねていたとみられる。 チョムスキー氏は2023年、エプスティーン元被告との関係について米紙ウォール・ストリート・ジャーナルに問われ、「最初の答えとしては、あなたには全く関係ない。誰にも関係ない。次に、私は彼を知っていて、時々会っていた」と述べていた。 今回明らかになったのは2019年2月の電子メール。当時は米紙マイアミ・ヘラルドが元被告に関し、一連の調査報道記事を掲載していた。また、元被告が連邦法違反の性的人身取引での裁判を回避するため、2008年に行った司法取引についても報じていた。 元被告は、「ノーム。腐敗した報道への対処法についてぜひ助言をお願いしたい」と連絡。メディア報道が「制御不能になっている」と付け加えている。 元被告はさらに、「誰かに意見記事を書かせるべきか?」と尋ね、「自分で守る? それか無視してみるか。大衆が危険なことはわかっている」と書いている。 これに対し、「ノーム・チョムスキー」と記されたアカウントからのメールは、「ハゲタカが切に望んでいるのは世間の反応だ。それが猛毒の攻撃に公のきっかけを提供する。そうした攻撃の多くは、注目を集めたい人やさまざまな変人によるものだ」と返事している。 そして、「女性への虐待についてヒステリーが起きている今、それは特に顕著だ。容疑に疑問を唱えることさえ、殺人より深刻な罪とされるほどだ」と書いている。 チョムスキー氏からとみられるメールはまた、元被告が受けている扱いを「ひどいやり方」だと嘆いている。 さらに、「こう言うのは心が痛むが、無視するのが最善の道だと思う」と告げている。 資料に名前が出てくることは、不正行為への関与を示すものではない。 BBCはチョムスキー氏のコメントを求めて、広報を担当する妻ヴァレリア氏に連絡している。 ■チョムスキー夫妻からも相談 今回公表された資料からは、元被告、チョムスキー氏、ヴァレリア氏の間で、学術論文から面会の手配まで、さまざまな事柄についてやり取りがあったことがうかがえる。 チョムスキー夫妻は、利息の支払いや、家計について子どもたちとコミュニケーションを取る方法について、エプスティーン元被告に助言を求めていたとみられる。 「ヴァレリア・チョムスキー」のメールアドレスからとされる2017年9月のメールは、「Nは子どもたちに以下の手紙を送りたいと思っている」、「提案は? 何か付け加えることは?」と尋ねている。 そして、「遠慮なく提案を。私たちはあなたを信頼している」と結んでいる。 元被告とチョムスキー氏のメールのやり取りは、過去に公開された資料にも出てくる。昨年公開された資料では、2人が何年にもわたって何通かのメッセージを交わし、元被告がチョムスキー氏を自宅に泊まるよう招いていたことがわかる。 チョムスキー氏は、多数のメールの中の日付の入っていない支持表明のメールで、自分たち2人は「多くの長くてしばしば掘り下げた議論」をしてきたとしている。 エプスティーン元被告は、2019年7月に連邦法違反の性的人身取引容疑で逮捕・起訴され、同年8月にニューヨークの拘置施設で死亡しているのが発見された。 (英語記事 Noam Chomsky advised Epstein about 'horrible' media coverage, files show)