トランプ氏、2006年にエプスティーン元被告のふるまいは「誰もが」知っていたと発言か 元警察本部長の証言が新資料に

マデリン・ハルパート アメリカで性犯罪で有罪とされた富豪ジェフリー・エプスティーン元被告(故人)について米司法省が1月末に追加公開した資料から、米フロリダ州の警察本部長が連邦捜査局(FBI)に対し、2006年の時点でドナルド・トランプ氏から電話を受け、元被告のふるまいについては「誰もが」知っていると聞かされていたと話していたことが明らかになった。トランプ氏は2019年に報道陣から、元被告を「疑っていた」かと質問され、「まったく知らなかった」と答えていた。 司法省が1月末に公開した資料によると、FBIは2019年にフロリダ州パームビーチの元警察本部長に聞き取りを行った。その際、本部長は、パームビーチ警察が元被告の捜査を開始した後にトランプ氏から電話があり、「彼を止めてくれて本当に良かった。あの男がそういうことをしていたのは、誰もがずっと知っていたことだ」と言われたと話したという。 公開されたFBI資料では警察官の名前は黒塗りされているものの、エプスティーン捜査当時のパームビーチ警察本部長だと特定している。これはマイケル・ライター氏にあたり、ライター氏は現地紙マイアミ・ヘラルドに対して、トランプ氏から電話を受けたと話している。 トランプ大統領はエプスティーン元被告に関連した不正行為に自分はいっさい関わっていないと、一貫して主張している。元被告による犯罪行為について知らなかったとも話している。しかし、2006年時点のこの電話の記録から、トランプ氏が何をいつ知っていたのかについて、あらためて疑問が生じる可能性がある。 エプスティーン元被告が2019年に、性的人身売買の疑いで連邦捜査官に逮捕された際、元被告について何か「疑って」いたかと記者団に聞かれたトランプ氏は、「いや、まったく知らなかった。まったく知らなかった。もう何年も、彼とは話していない」と答えていた。 エプスティーン元被告は2019年8月、性的人身売買罪で裁判を待つ間に、ニューヨークの拘置所で死亡した。2005年に14歳の少女の両親がフロリダ州で警察に通報したことを受け、元被告は2008年には、少女に対する性的虐待罪で起訴され、司法取引を通じて有罪判決を受けていた。2019年7月には性的人身売買容疑で逮捕・訴追された。 FBIの聴取記録の要約によると、パームビーチ警察のライター元本部長は、トランプ氏からかかってきた2006年7月の電話で、同氏が私邸マール・アー・ラーゴからエプスティーン元被告を追い出したと話し、「彼がおぞましい人間だと、ニューヨークではよく知られていた」と述べていたと語っている。 ライター元本部長はまた、元被告の共犯者として有罪評決を受け禁錮20年の刑で収監されているギレイン・マックスウェル受刑者について、トランプ氏が彼女は元被告の「手先」だと言い、「彼女は邪悪なので彼女に焦点を当てるべきだ」と話していたと明らかにしている。 マックスウェル受刑者については、複数の未成年の少女を勧誘してエプスティーン元被告の元へ送り込むのが役割だったと、裁判で認定されている。 ライター元本部長はさらに、トランプ氏が警察への電話で、エプスティーン元被告が10代の少女と一緒にいる場に同席したことがあり、自分は「大急ぎでその場を離れた」と話していたと、FBIに語っている。 FBI資料によると、警察がエプスティーン元被告を捜査していると知り、「真っ先に」警察に電話をしてきた中の一人が、トランプ氏だったとライター氏は話している。 パームビーチ警察は2006年、未成年の少女に対する性的搾取の疑いで元被告を捜査していた。捜査を引き継いだ連邦検察は2008年に、元被告と司法取引を行った。より重大な罪では不起訴にするという、当人を守る合意を含む取引だったことから、そのやりとりは批判を集めている。 米司法省の担当者はBBCの取材に対し、「大統領が20年前に捜査当局に連絡したと裏付ける証拠は、確認されていない」と述べた。 元本部長がFBIに話したこの電話について、10日のホワイトハウス定例会見で質問されたキャロライン・レヴィット報道官は、「2006年にそれがあったのかどうかは分からない。私は答えを知らない」と答えた。 「トランプ大統領は常にこう繰り返している。ジェフリー・エプスティーンをマール・ア・ラーゴから追い出したのは、ジェフリー・エプスティーンが気味の悪い存在だったからだと」と報道官は述べた。さらに、「この電話でもそれはそのままだ。もしこの電話が実際にあったのなら、それはトランプ大統領が当初から言ってきたことを正確に裏付けるものだ」とした。 BBCは、ライター氏にもコメントを求めている。 トランプ氏とエプスティーン元被告は1990年代に交流があり、複数の写真に一緒に写っている。大統領およびホワイトハウスは、トランプ氏がエプスティーン元被告の犯罪を知る前、元被告が最初に逮捕される数年前の2004年頃に絶交したと繰り返している。 トランプ氏は、エプスティーン元被告がマール・ア・ラーゴの従業員を「盗もう」としていたと知り、絶縁したのだと話している。 「その話を聞いて私は彼に、うちの人間を連れていくのをやめろと言った」のだと、トランプ氏は昨年7月に説明。「彼は問題にしなかったが、それから少ししてまた同じことをしたから、私は『出て行け』と言ったんだ」と話した。 トランプ氏の電話についての報道に先立ち、米連邦議会下院の監視・政府改革委員会は9日、マックスウェル受刑者に対し、非公開でオンライン証言聴取を行った。ジェイムズ・コーマー委員長(共和党)によると、マックスウェル受刑者は黙秘権を行使して回答を拒否した。 マックスウェル受刑者の弁護人デイヴィッド・オスカー・マーカス氏は先に、「トランプ大統領から恩赦が与えられれば、マックスウェルは全面的かつ誠実に語る用意がある」とソーシャルメディアに投稿していた。 トランプ氏はこれまで、マックスウェル受刑者への恩赦は考えたことがないと話している。 (英語記事 Ex-police chief said Trump told him in 2006 'everyone' knew of Epstein's behaviour)

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