静岡県警が、面識がない人物が集まる「匿名・流動型犯罪グループ(匿流(トクリュウ))」による強盗事件への警戒を強めている。昨年末から事件が相次ぎ、標的とされる住宅の情報が犯罪グループ間で共有されている可能性もあるとみている。パトロールを強化し、住民への呼びかけにも力を入れる。 20日朝、静岡市清水区の住宅街にある自動車整備店を県警生活安全企画課と清水署の警察官5人ほどが訪れた。報道陣に公開しての防犯指導だ。 住宅を兼ねた店は、一定の現金があると踏んだ犯罪グループが標的にしやすいとみられている。警官は経営する男性(83)に「資産状況を聞く電話がかかってきても絶対に答えないで」とアドバイス。「外出中は必ずカギをかけて、必要以上に多額の現金を保管しないで」とも声をかけた。 男性は「このあたりは平和で泥棒が入ったこともない」としつつも、「不審者には注意したい」と話した。 防犯指導の強化は、住宅を狙った強盗事件が続いたのがきっかけだ。 昨年12月22日未明に長泉町納米里で起きた事件は、店舗兼住宅が狙われた。80代の夫婦が口や手首をテープで縛られ、現金約1千万円を奪われた。縛られた際に夫が軽傷を負った。 県警はこれまでに計7人を強盗致傷容疑などで逮捕した。いずれも被害者とは面識がなく、指示役の男が被害者宅に多額の現金があることを何らかの方法でつかみ、実行役らとスマホの秘匿性の高いアプリで連絡を取り合って犯行に及んだ模様だ。県警は匿流の可能性が高いとみている。 2月7日には伊豆市修善寺で、1週間後の14日には磐田市福田中島で強盗事件が発生。ともに複数人が未明に押し入る手口だった。容疑者はいずれも逃走中だが、匿流ではないかとの見方がある。 危機感を抱く県警は住宅街でのパトロールに力を入れ、住民らにも防犯を呼びかける。 とりわけ、住宅の様子をうかがう不審者を見つけたら警察に通報・相談する▽電話で資産状況を聞かれても答えないのが重要だ。そもそも多額の資産を自宅に保管しない方が良いという。 また、玄関や窓に補助錠を設置する▽防犯カメラやセンサーライトなどを活用するのも有効だとしている。 県警生活安全企画課の小松航警部は「犯人の検挙や警戒、防犯指導に全力を尽くす」と話したうえで、「県民の皆さんも自分の身は自分で守るべく防犯対策をして、自己防衛力を高めてほしい」と呼びかけている。(滝沢貴大) ■住宅を狙った強盗事件が相次いでいる ●2025年12月22日午前1時ごろ、長泉町納米里で店舗兼住宅から現金約1千万円が奪われる。80代の夫婦2人が、テープで口をふさがれたり、手首を縛られたりした。県警はこれまでに指示役、運転手役、勧誘役、現場の指示役、実行犯3人の計7人を逮捕。「匿名・流動型犯罪グループ(匿流)」による犯行だとみて捜査を進めている。 ●26年2月7日午前3時ごろ、伊豆市修善寺の店舗兼住宅に男2人が押し入り、寝ていた女性の口をふさぎ、現金約20万円が入った小型の金庫を奪った。容疑者は逃走中。 ●2月14日午前3時ごろ、磐田市福田中島の住宅に目出し帽を着用した複数の人物が侵入。鉢合わせした住民を棒のようなもので殴りつけて逃走した。容疑者は複数人だったという。 (いずれも県警などの説明から)(滝沢貴大)