神戸市北区の特定抗争指定暴力団神戸山口組の組長宅で1月に起きた火災で、兵庫県警に現住建造物等放火などの疑いで逮捕された浜松市の無職の男(75)が、銃弾20発を所持して組長宅に侵入した疑いがあることが、捜査関係者への取材で分かった。拳銃は発射が可能な状態だったといい、県警は抗争事件とみて警戒を強めている。 県警によると、男は、神戸山口組と分裂抗争を続ける特定抗争指定暴力団山口組の関係者とみられるという。 火災は1月19日夕に起き、車2台と組員らが住む別棟の勝手口の引き戸などが焼けた。男は出火直後、組長宅敷地内から出たところで警察官と鉢合わせし、身柄を確保された。 その後、回転式拳銃1丁を所持した疑いや、ガソリンとライターで火を付けた容疑で逮捕され、神戸地検は銃刀法違反罪について2月21日に起訴した。 捜査関係者によると、男は確保された際、回転式拳銃と銃弾19発を所持。組長宅敷地内から未使用の銃弾1発が見つかった。銃弾を鑑定した結果、一部を発射可能な実弾と確認したという。 神戸山口組の組長宅襲撃を巡っては、2022年6月に山口組系組員が銃弾を撃ち込む事件が発生。23年6月には別の山口組系組員が玄関脇にガソリンをまき、火を付けようとして逮捕された。 今回、県警の調べに男は「塀を乗り越えて、ガソリンをまいて燃やした」と供述。火災が起きた際、組員が4人ほどいたとされるが、敷地内に侵入を許した初めてのケースとみられる。組員らは組長が不在だったと説明しているが、ある捜査員は「これまでと比べて一線を越えている」と抗争の激化を警戒する。