1986年に福井市で中学3年の女子生徒(当時15歳)が殺害された事件で、前川彰司さん(60)の再審無罪が確定したことを受け、名古屋高検は1日、事件の捜査や公判に関わった検察官への聞き取り調査を始めたと発表した。前川さんの再審無罪を受け、同高検が検察官に聞き取りを行うのは初めて。調査対象には退職者も含まれ、不適切な対応に至った経緯を検証し、後日、報告書にまとめ公表するとしている。 同高検によると、聞き取り調査は最高検からの指示で実施。背景には再審制度の改正議論があるとし、「同事件の検察官の対応についても改めてさまざまな指摘がなされていることを鑑みた」と説明した。 前川さんは事件の翌年、殺人容疑で逮捕された。1審・福井地裁判決は無罪だったが、2審・名古屋高裁金沢支部は懲役7年の逆転有罪判決を言い渡し、97年に確定した。服役後の2度目の再審請求で、2024年10月に再審開始が決まり、25年8月に再審無罪が確定した。 再審無罪判決は、検察側が前川さんに有利な証拠を把握しながら明らかにしていなかったことについて「公益の代表者としてあるまじき不誠実で罪深い不正」と非難し、「刑事司法全体に対する信頼を揺るがせかねない深刻なものだ」と断じた。 名古屋高検は25年8月、管内の各地検に対し、証拠に誤りがあれば速やかに撤回するよう求める通知を出すなどの再発防止策を示していた。【渋谷雅也】