大阪地検の元検事正、北川健太郎被告が部下の女性検事に対する準強制性交罪に問われている事件で、被害者の女性検事ひかりさん(仮名)が4月30日、大阪地検に辞表を提出し、記者会見を開いて、北川被告だけでなく検察組織の問題を訴えた。 「検事の仕事を辞めようとは思いませんでした。自分を待ってる人がいる。私を待ってくれる被害者がいる。私は絶対あそこ(検察庁)に戻りたかった。北川が逮捕、起訴されやっと戻れると思いました。あの職場が安全になったと信じていたが、そうではなかった。生き地獄から解放されたい、もう戻る場所はないと思い、辞表を出さざるを得なくなりました」 ひかりさんはハンカチで涙をぬぐいながら訴えた。 起訴状などによると、ひかりさんが被害に遭ったのは、2018年9月。職場の懇親会でひどく酔って酩酊状態になり、タクシーに乗せられて一人で帰る際、同席していた北川被告が一緒に乗り込んで自宅の官舎に連れていき、性的暴行に及んだとされる。 ひかりさんが北川被告に被害を訴えると伝えると、北川被告は、 「検事正による大スキャンダルであり、検察にも大きな批判がある」 「公にしたら死ぬ」 などと口止めし、ひかりさんは被害を訴えることができなかった。だが、被害によってPTSDを発症するほどに追い込まれ、休職を余儀なくされる。24年3月に意を決して大阪地検に北川被告を刑事告訴。「被害申告を取り下げろと最高検から言われた」(ひかりさん)が、被害を訴え続けた結果、北川被告は同年6月に逮捕、翌月起訴された。北川被告は同年10月の初公判で起訴事実を認め謝罪したが、その後、弁護人を通じて無罪主張に転じると説明。このため月1度のペースで非公開の争点整理が始まり、初公判から1年半以上たっても2回目の公判は開かれていない。 ■「誹謗中傷を拡散した」副検事は不起訴に ひかりさんにとって、北川被告の犯行とともに、耐え難かったのが2次被害だった。ひかりさんによると、北川被告と親しい関係にあった女性の副検事が、ひかりさんの実名とともに「本件はハニートラップ」などと虚偽内容の誹謗中傷を検察庁内外に拡散したという。 ひかりさんはこの副検事を名誉毀損などの疑いで刑事告訴したが、不起訴になった。この日の記者会見で、副検事の不起訴処分は不当だと検察審査会に審査申し立てをしたことも明かした。 「副検事は、私が飲み会の席で北川被告に『好き』などと言って迫っていたというウソを言いふらして、事件をつぶそうとした。副検事は北川と今も通謀している可能性がある。副検事のウソが全国に、世界に広まってしまった。この副検事を私と別の部署に異動させてほしいと何度も検察に伝えたが、そうはしてくれなかった。そんな危険な、安全ではない職場では仕事ができないというのが辞表を出した理由の一つです」