戦後の反芸術ブームの中でもひときわ過激なパフォーマンスで注目を集めた北九州市の前衛美術グループ「集団蜘蛛(くも)」の活動から半世紀余り。画家、森山安英さん(89)が3月、同市のカジキ美術画廊で開いた個展で4年ぶりに新作を披露した。芸術とは何か、絵画とは何か。悩み苦しんだ末にたどり着いた「模写」に、生涯を通した絵画への渇望が宿る。(川口安子) 壁一面に、赤瀬川原平さんの前衛アート「大日本零円札」(1967年)を色鉛筆でなぞった模写約40点が並ぶ。絶筆宣言をして、酒を飲むばかりだった2、3年前、知人に貸していた「大日本零円札」がたまたま手元に戻ってきた。「もう絵はやめたと、画材一切捨ててしまっていた」が、絵描きへの執着は捨てきれていなかった。「僕のどうしていいか分からん気持ちを見かねて、あの世から描いてくれって言っとるんやなと思って」。かろうじて自宅に残っていた色鉛筆と古いスケッチブックを探しだし、1日5時間、11カ月かけて描き上げた。