部活動で遠征に向かった高校生が命を落とすバス事故は、なぜ起きたのか。背景の解明を急ぐとともに、全国の学校や事業者は校外活動などの安全管理をあらためて点検せねばならない。 福島県郡山市の磐越自動車道で、マイクロバスがガードレールに衝突するなどし、新潟市内の高校に通う男子ソフトテニス部の生徒1人が死亡し、同乗の部員17人が負傷した。運転した容疑者が自動車運転処罰法違反の疑いで逮捕されている。 警察の調べによると、容疑者は「運転や体調に不安はなかった」と供述するが、数カ月前から物損事故を繰り返し、事故5日前の追突事故をきっかけに、免許を返納する考えを知人に話していたという。捜査を尽くし、経緯や原因を明らかにしてもらいたい。 違法な「白バス」運行だった可能性も浮上している。 容疑者は、旅客運送の車の運転に必要な「2種免許」を持たず、バスは自家用向けの「白ナンバー」のレンタカーだった。「手当」と記した現金3万3千円入りの封筒が見つかっており、報酬ならば無許可営業の可能性がある。 バスと運転手の手配を巡り、学校側は、正規の運転手による貸し切りバスを依頼したとする。会社側は、費用を抑えるためにレンタカーとドライバーを求められたと主張し、言い分は食い違う。 バスの請求書や契約の記録から、過去にもレンタカーによる引率があったとされるが、学校側は事業者に手配を任せていた。 一方、会社の営業担当者は今回、面識のない「知人の知人」を運転手に頼みながら、事故歴を把握していなかったという。 不可解な点は当局の調べを待つとしても、双方ともに安全意識の欠如は否めまい。 校外活動を巡っては、文部科学省が先月、安全確保の徹底を求める通知を出したばかりだ。同志社国際高の生徒らが修学旅行先の沖縄で死傷した事故を受けた対応だが、実効性の確保が問われよう。 中高の部活動は、大会や練習試合に伴う長距離のバス移動が珍しくないが、引率と安全管理は、顧問ら現場に委ねられているケースが多い。部活の地域移行も進む中、生徒らの安全をいかに担保するか、国や自治体は踏み込んだ対応を考えたい。 各校は移動中や滞在先での安全管理、計画や契約の内容を入念にチェックする体制を整えてほしい。