兵庫県たつの市の民家で住人の田中澄恵さん(74)と娘の千尋さん(52)の遺体が見つかった事件で、事件発覚前に警察官が県内の高砂市で大山賢二容疑者(42)に職務質問をした際、大山容疑者がスマートフォンなどを持たず、所持金も500円余りだったことが、捜査関係者への取材でわかった。 県警は、千尋さんへの殺人容疑で公開手配している大山容疑者の行方を追うとともに、大山容疑者が過去に暮らしていた澄恵さん方の南隣の家の家宅捜索と現場検証を進めている。 この家は現在、空き家となっているが、県警は大山容疑者に関する資料や物品のほか、大山容疑者が最近出入りした形跡がないかを確認し、殺害された2人との接点などを調べている。 県警によると、澄恵さんと千尋さんの遺体が見つかったのは19日。司法解剖の結果、13日ごろに刃物で首や体を複数回刺されて殺害されたと判断された。 県警は現場の遺留物の鑑定などを経て、23日に千尋さんに対する殺人容疑で大山容疑者の逮捕状を取り、所在がわからないことなどから、24日に公開手配した。 この間の16日午後10時20分ごろ、大山容疑者は現場から約30キロ離れた高砂市内の歩道で寝ているところを高砂署員に職務質問された。 その際、大山容疑者が「人を殺した」「たつの」などと述べたため、署員は事情を詳しく聴くため署に任意同行した。 だが、大山容疑者は相手や日時など具体的なことは語らず、血の付いた刃物や衣服など事件に関与したことをうかがわせる物も持っていなかった。 こうした状況などから、高砂署は信憑(しんぴょう)性が低いと判断し、大山容疑者を過去に住んでいた澄恵さん方の南隣の家の近くまで車で送り届けたという。 捜査関係者によると、このときの大山容疑者の所持金は550円で、スマートフォンやキャッシュカード、身分証明書は持っていなかったという。 ■造園業の父の手伝いも 県警が家宅捜索などを進めている大山容疑者の元自宅は2階建て。近隣住民らによると、大山容疑者は過去に造園業を営む父らと暮らし、父の仕事を手伝うこともあったという。 県警は約10年前に大山容疑者が住んでいたことを確認しているが、大山容疑者は父の死後に家を出て、その後は祖母が昨年ごろまで暮らしていたという。 父と親しかったという地元の男性は、大山容疑者について「まじめでおとなしい子。周りからは『けんちゃん』と呼ばれていた」と振り返る。最後に会ったのは父の葬儀のときだったという。 大山容疑者の行方は26日朝の時点でわかっておらず、県警が引き続き足取りを調べている。(島崎恵茉、中嶋周平)