警視庁元麻薬Gメンが実名・顔出し告白…「年間数百丁!」暴力団などの犯罪組織から拳銃を摘発せよ

都内にある手入れの行き届いた瀟洒(しょうしゃ)な一軒家を我々捜査官が訪ねたのは、いまから10年ほど前だったでしょうか。 表向きは「会社員の邸宅」だったので、奥さまは刑事の訪問に大変驚かれていましたが、ご主人は警察用語で言う犯罪組織の「テコ」――組織に所属しない使い走りで、「銃器を自宅に隠し持っている」という情報が寄せられていました。 「家族には言わないでほしい」 というご主人の意向を受け、何も知らない奥さまには自宅の一室で待機していただき、捜索を始めました。どの部屋も整理整頓されていて、塵(ちり)ひとつ落ちていない。「これでは屋内には隠せない」と考え、庭に出ました。 すると、ご主人の趣味なのでしょう、ロードバイクが塀に架けられていました。その奥に倉庫があるのが見えてピンときました。 はたして、大事なロードバイクは外にむき出しでぶら下がっているのに、ホームセンターで売っているようなアルミ製の倉庫には鍵がかかっていました。 鍵を開けるとジュラルミンのアタッシュケースがあり、中にグロックと最新式のコルトガバメントが入っていました。 元警視庁警部補の小比類巻(こひるいまき)文隆氏(52)は’93年に入庁して以来、30年にわたるキャリアのほとんどを組織犯罪と薬物事案の捜査に捧げてきた。これまで2度にわたって本誌で「薬物捜査のリアル」を紹介してきた小比類巻氏だが、今回は銃器対策の現場について詳述する。 薬物の情報を取っていると、一緒に銃器の情報が上がってくることがあります。薬物と銃器は犯罪組織にとって、同じ″売れ筋″の闇ビジネスだからです。 日本では、年間数百丁もの拳銃が押収されています。暴力団などの犯罪組織から流出した″野良拳銃″に加え、マニアが所持する模造拳銃、一見するとオモチャでも実弾が撃ててしまう手製の銃も摘発対象となります。たった一発でも前に弾が飛び、殺傷能力があるならば、それは日本の法律では「拳銃等」となります。 警察はどうやって銃器の在処(ありか)を掴むのか。大きな柱は「情報提供」です。 いい情報なら手付けとして5万円払い、総額で数十万円出すこともあります。警察で予算が組んであり、きちんと領収書を貰って申告します。情報源の秘匿は徹底されており、提供者の素性が漏れたことはこれまで一度もありません。 誰から情報を取るかと言えば、「トラブルを起こしている犯罪組織の人間」です。借金を踏み倒されたとか、女に手を出されたとか、トラブルの噂を嗅ぎつけて接触します。 「なんだか揉めているらしいじゃん」 「刑事さん、聞いてくれよ! あの野郎、とんでもねえんだよ……」 「じゃあ、情報(ネタ)持ってこい。パクってやるから。ただし、事件を″作る″なよ。綺麗な情報を持ってこい」 という具合に引き出すわけです。 ただ、誰にいつ裏切られるかわからないのが裏社会。自分が密告(チンコロ)されることに備えて、あらかじめ自宅にモデルガンを置いておくヤクザもいます。家宅捜索に来た刑事にモデルガンを掴ませ、「チャカって、これのこと?」と嘯(うそぶ)く。 その一方で、真正拳銃は冒頭のエピソードに出てきたテコなどにいくらか小遣いを渡して、預けておくわけです。

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