動くか…“開かずの扉” 「再審制度の見直し」国会で審議入り 過去に北海道内でもえん罪の被害者が

「自分は痛さとつらさにたまりかね、 胸になきことをあんまりやられるがゆえに 『やりました』と言ってしまったのです」 獄中で綴られた、ある男性の告白。 捜査の中で警察から受けた、凄惨な拷問の様子が 綴られています。 永井法律事務所・永井哲男弁護士 「悪い噂とかいうようなものもないし、 不良だとかそういうようなものでも 全然なかった」 北見市で弁護士をしている 永井哲男さん。 今から76年前に起きた、 あるえん罪事件の再審で法廷に立ちました。 事の発端は1950年10月、 北見営林局の職員と 留辺蘂(るべしべ)営林署の職員が 公金を持ち、逃走。 2人は遺体で見つかりました。 その後、「強盗殺人事件」の 容疑者として逮捕されたのが 当時28歳だった 北見市の 梅田義光さんです。 梅田さんは、警察の取り調べで 拷問を受け、 虚偽の犯行を自白したとし、 裁判で無実を訴えますが、 裁判所は、拷問の事実を認めず、 一審で無期懲役の判決が下されます。 獄中から再審請求を行うも、 裁判所はこれを棄却しました。 梅田さん 「悔しい悔しいと思って (北海道から最高裁に)行ったら、 帰りまで手錠をかけて(北海道に)帰るなんて 夢にも考えていないでしょ 悔しいのなんの、僕も泣けて しょうがなかったですね」 刑務所で過ごしたのち、1971年に梅田さんは 仮釈放されました。 弁護側は梅田さんの無実を訴え、 新たな証拠を提出。 1982年、釧路地裁で 再審開始が決定されます。 しかし、検察は札幌高裁に即時抗告し、 再審までの道は、また遠のきました。 永井さん 「何しろそのまま認めるわけには いかないというのが 検察官の立場だったという風に思う。 再審の公判で色々と言いたいことがあれば そこで審理できると、もう一度審理を やるというわけだから、時間をかければ (再審開始まで)えらく長くなると」 1度目の再審請求から23年経った1985年、 札幌高裁は検察側の抗告を棄却し、 ようやく再審開始が確定。 そして、1986年、 釧路地裁で梅田さんに無罪判決が 言い渡されました。 梅田さん 「やっと34年の本当に私に対しての春が きょうここではっきりしたと思います」 無罪が確定したのは逮捕から実に34年。 28歳だった梅田さんは、 すでに62歳となっていました。 梅田さんは講演などで この問題を世に問いながら、 82歳で世を去りました。 永井さん 「再審公判で、検察としたら 色々と言うチャンスがあるわけだから、 そういうところでやっぱり早く えん罪の疑いがあるというところに対しては その扉を早く開けるべきだ というふうに思いますね」 「開かずの扉」とも言われる 再審、裁判のやり直し。 その制度の見直しを 巡る議論が山場を迎えています。 司会 「まだ会議は始まっておりません」 自民党・井出庸生 衆院議員 「自民党はな、法務省のために あるんじゃないんだぞ。 国民のためにあるんだぞ」 自民党・稲田朋美元防衛大臣 「ほとんどの議員が『抗告禁止』と 言っているにもかかわらず、 それを全く無視をしている」 4月、 自民党本部で行われた「再審制度見直し」 刑事争訟法の改正案をめぐる、 法務省との会議。 稲田元防衛大臣が 訴えたのは「検察官抗告の禁止」です。 今の刑事訴訟法では 再審開始が決定されても、 検察側が「抗告」つまり、 不服申し立てを行うことが 認められています。 えん罪被害者の早期救済のため、 改正案ではこの規定が削除され、 不服申し立ては原則禁止となりました。 ただし、改正案には 「十分な理由がある場合は抗告が可能」 という例外規定も盛り込まれています。 5月13日、 自民党は政府の改正案を了承しました。 自民党・鈴木貴子広報本部長 「今回出てきた法務省案は今でも完璧ではない。 我々の声が思いが 完全に入っているものではない」 「捜査官はわが家の居間で腕枕をして テレビを見ていた。 私の母が『何をそこで寝そべって いるんですか』 『やるべきことをやってください』と声をかけ、いそいそと立ち上がった姿を、 私の家族は一生忘れることはない」 再審制度の見直しに力を注いでいる、 自民党の 鈴木貴子広報本部長。 きっかけは24年前、全国を揺るがした あの事件です。 鈴木宗男氏 「やましいことはしておりませんので、 私は胸を張って正々堂々と収監に臨みます」 2002年、 当時、衆議院議員だった鈴木宗男さんが、 北海道開発局の公共工事を巡り、 地元の建設会社から 賄賂を受け取ったなどの罪で 懲役2年、追徴金1100万円の 実刑判決が下されました。 鈴木宗男さんは 「自分を失脚させるための 『国策捜査』である」と主張し、 いまも再審の開始を求め続けています。 自民党・鈴木貴子広報本部長 「今回で言えば再審法の改正、 全く反省を示してこない、 魂のこもっていない法案を出してきた 法務省に対して、国家権力によって自由を、 尊厳を奪われた、声なき声にされた人たちの 声というものを代弁する責任があった。 実際にこれだけ冤罪事案が明らかになった今、 日本の刑事司法、立ち止まって考えるべきだと 思います」 帯広で再審制度の 見直しについて取り組む弁護士は、 今回の改正を巡る議論について 渡辺法律事務所・渡辺紘生弁護士 「法体系のバランスを重視するっていう 法務省側の考えと、 やっぱりひと握りではあるけども、 罪のない方が救済されることに 重きを置くべきだという考えに温度差がある えん罪被害者の早期救済というのを 目的とする再審制度のあり方っていうのを 考えれば、 (検察官抗告は)禁止されるべきである」 先月26日、再審制度を見直す 刑事訴訟法の改正案が 衆議院本会議で審議入りしました。 77年にわたって、これまで一度も 改正されてこなかった「再審制度」。 えん罪被害者の一刻も早い救済のため、 「開かずの扉」が動き始めています。

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