「死刑で死んでもらったら困る」遺族が語る葛藤…民事とやり直し裁判の長期化、警察の初動対応を問う妻の「風化させない」決意 (富山・奥田交番襲撃事件)

「死刑で死んでもらったら困る」——。この言葉の裏にあるのは、決して犯人を許したわけではないという深く複雑な葛藤です。富山市の奥田交番で警察官と警備員が殺害された痛ましい事件から、26日で8年が経過します。 いまだ終わりの見えない刑事と民事、2つの裁判。今回、犠牲となった警備員・中村信一さんの妻が取材に応じ、「事件を絶対風化させてはいけない」と現在の胸の内を明かしてくれました。 殺害された中村信一さんの妻 「かけがえのない存在でしたね。今でもそうですけどね」 8回目の命日を前に中村信一さんの妻が語ったのはいまも癒えることのない哀しみでした。 事件があったのは2018年6月26日。 富山市の奥田交番に男が押し入り、警察官を刃物で殺害しました。男は拳銃を奪い、小学校の正門前で交通整理の仕事をしていた中村信一さんを警察官と見間違え殺害しました。 逮捕されたのは元自衛官の島津彗大被告です。 ■異例の長期化となっている刑事裁判 一審の富山地裁は最大の争点となった「強盗殺人罪の成立」を認めず、死刑の求刑に対し無期懲役の判決を言い渡しました。 しかし、控訴審では事実誤認があるとしてこの判決を破棄し、審理を富山地裁に差し戻しました。 富山地裁でのやり直し裁判が決まりましたが、現在も争点を整理する手続きが続いています。 やり直し裁判では、強盗殺人罪の成立を前提に被告のASD・自閉症スペクトラムが事件にどの程度影響したかが審理されるとみられます。 ■ふたたび死刑求刑が見込まれるなか… 中村さんの妻は次のように語りました。 殺害された中村さんの妻 「『どんな罪の償い方を彼に望むか』って言われると、死刑で死んでもらったら困ると。決して彼を許したわけではなくて、憎しみがなくなったわけでもなくて。ちゃんと事件と向き合って、罪と向き合って、苦しんで後悔して、最終的には心から謝罪をしてほしい。だって彼が死刑になっても主人は戻ってこないのですもの。心からの謝罪を求めてるので時間が必要なのです」

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