ワールドカップ(W杯)で早々と敗退した韓国サッカーが世論の袋だたきに遭っている。とくにチームを率いた洪明甫(ホン・ミョンボ)監督に非難が集中。李在明(イ・ジェミョン)大統領まで「無能な指揮官」といい、国会にも呼び出されて糾弾されそうだ。捜査当局も「サッカー協会の監督任命に問題があった」と告発を受けて捜査に乗り出した。 「監督逮捕!」みたいになりかねない流れだが、韓国では国際大会に出場するチームを「国家代表」という。なので今回の惨めな結果は国家的一大事であり、監督はさしずめ〝国家的大罪人〟ということになる。 こうした雰囲気の反作用として、一方で世論(メディア)には日本サッカーへの称賛と「日本に学べ」論があふれている。中でも目を引くのが「モリヤス監督は高卒だった!」という驚き半分の紹介だ。不振を招いたサッカー協会の問題点の一つとして、学閥偏重が指摘されているからだ。鄭夢奎(チョン・モンギュ)会長や洪監督ら高麗大学OBが協会を牛耳っているというのだ。 韓国社会についてはよく「組織より人脈」といわれるが、先ごろ国を揺るがせた尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領による唐突な戒厳令騒ぎは、大統領が同じ出身高校OBと仕組んだ〝陰謀〟でもあった。お互い面倒を見合う濃密な人脈社会はときにはうるわしく、ときには国を揺るがす大事を招く。(黒田勝弘)