小学館は4日、漫画アプリ「マンガワン」で、性加害で逮捕歴のある漫画家を別名義で新連載の原作に起用していた問題を受け、経営責任の明確化と再発防止策を公表した。代表取締役社長の報酬を3か月間50%自主返納するなど役員報酬を減額するほか、人権委員会の新設や外部クリエイターの起用基準見直しなど、組織改革を進める。 同社は、今年2月に公表していた「マンガワン」への漫画家起用を巡る一連の問題について、今月3日に第三者委員会による調査報告書を公表した。この結果を受け、同社は「人権に関わる極めて重大な事案」と位置付け「被害を受けられた方々への配慮や人権に対する認識・判断、当社のガバナンス及び危機管理体制が問われる問題」と受け止めたことを表明。「一部門や一個人の問題ではなく、組織全体の課題として受け止めております」とした。 その上で、「被害を受けられた方々に心よりお詫び申し上げます」と改めて謝罪し、「人権尊重を当社の企業活動の根幹に据え、人権教育、組織風土及び経営体制に至るまで抜本的な改革を進める」と表明。「二度と同様の事案を発生させない組織への改革を進めてまいります」とした。 経営責任については、相賀信宏社長が月額報酬の50%を3か月返上するほか、専務・常務・取締役・監査役も20~30%を3か月自主返納。従業員の責任に関しては「就業規則に基づき厳格な対応をとります」とした。 再発防止策では、人権方針に基づく外部有識者を含む「人権委員会」を設置し、人権リスクを洗い出す「人権デュー・ディリジェンス」を実施。全役員・社員への人権教育を定期的に行うほか、編集者や管理職向けの研修も強化する。 また、外部クリエイターとの契約には人権尊重条項を盛り込み、人権侵害の懸念が生じた場合は編集部だけでなく法務部門も関与する組織的な判断体制へ改める。「被害者保護、再被害防止、企業の社会的責任を必須判断要素とする」とし、「倫理的に許容することができないと判断される場合には、依頼及び継続をいたしません」と明記した。 一連の問題を巡っては、同社の漫画アプリ「マンガワン」で2022年から連載されていた「常人仮面」の原作者「一路一」氏が、2020年に児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)の罪で略式命令を受けた漫画家・山本章一氏と同一人物だったことが判明。今年2月に配信中止とした。 3日に公表された第三者委員会の調査報告書では、「企業としての人権尊重責任を果たすために必要な調査・検証を十分に行っていたとはいえない」などと厳しく指摘されていた。