米国圧力でICC存続危機 裁判官の半数が制裁対象 加盟国が相次ぎ離脱

【パリ=三井美奈】米国は18日、国際刑事裁判所(ICC)の日本人トップ、赤根智子所長への制裁措置を発表したことで、「ICC解体」を目指す姿勢を改めて示した。ICCは米国の圧力に加え、加盟国の相次ぐ離脱などで打撃を受け、存続の危機にある。 米国の制裁対象となったICC裁判官は赤根氏で9人目。裁判官18人の半数を占めるようになった。制裁により米国内の資産は凍結され、送金やクレジットカード決済が難しくなる。二次的制裁の対象になるのを恐れ、ICCと取引を停止する企業も出ている。 ルビオ米国務長官は7月、米紙ウォールストリート・ジャーナルへの寄稿で「あらゆる手段を使ってICCを解体する」と宣言。これに対して赤根氏は「国際法が圧力にさらされている」と危機感を示していた。 7月以降、トランプ米政権に同調するようにチャドやベネズエラがICC脱退を表明した。さらに、カーン首席検察官が、部下に対する性加害疑惑により懲戒免職となるなど、組織内のスキャンダルにも揺れた。カーン氏はロシアのプーチン大統領、イスラエルのネタニヤフ首相などICC非加盟国トップに逮捕状を請求し、捜査を主導してきたが、後任は決まっていない。 米国による赤根氏らへの制裁についてICCは19日、声明で「司法機関の独立に対する攻撃」と位置付け、遺憾の意を表明。犯罪被害者のため、任務を続けるとした。 欧州連合(EU)は7月の声明で、ICCに対する「揺るぎない支持」を表明し、職員を威嚇や制裁から守ると宣言している。だが、第三国による制裁を域内で無効化するEU法の「差し止め規定」は発動せず、米国を正面から批判することは見送ってきた。 赤根氏は2023年、プーチン氏への逮捕状発行にかかわり、その報復としてロシアから指名手配された。昨年、モスクワの裁判所で欠席裁判により有罪判決を言い渡されており、米露両国から圧力を受けることになった。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加