(CNN) トランプ米大統領の弾劾(だんがい)を訴え、米連邦議会議事堂の階段で逮捕された米空軍兵士が、24日に正式に刑事訴追された。本人の弁護士がCNNに提供した起訴状で明らかになった。 起訴状によるとジェイソン・ワトソン少佐は、軍事司法統一法典に基づき、トランプ氏について「侮辱的な」発言をしたとして第88条違反3件、命令不服従で第92条違反5件、そして士官にあるまじき行為で第133条違反2件の罪でそれぞれ起訴されている。 異例の第88条違反は、同少佐が6月にオンラインプラットフォーム「Substack(サブスタック)」の「Defenders of our Republic」ニュースレターのインタビューに応じたこと、7月1日に軍服姿で連邦議会議事堂前で抗議活動を行ったこと、そして8月17日にCNNのインタビューに応じたことと関連している。 軍服を着用して政治的な抗議活動などの露骨な党派活動に参加すること、あるいは大統領やその他の高官に対して「侮辱的な言葉」を用いることは、軍事司法統一法典に違反する可能性がある。こうした規則に対する軽微な違反の多くは非公式に解決されるが、ワトソン少佐の違反は異例なほど注目を集めた。 ワトソン少佐は2度逮捕されており、最初の逮捕は7月、軍服を着て連邦議会議事堂で抗議活動を行った際のことだった。その後、CNNのインタビューでトランプ氏を再度批判すると数日後に再び逮捕された。少佐の弁護士の一人であるクリス・ムティマー氏はCNNに対し、依頼人は「公判前拘禁」を命じられたと語った。これは民事裁判における保釈却下に相当する措置であり、本人に対する法的措置が取られるまで拘禁されることになる。 「(トランプ氏は)大統領として失格であるだけでなく、憲法を露骨に侵害し、法律を破り、蔓延(まんえん)する汚職に関与し、米国民を殺害している」。ワトソン少佐はCNNのエリン・バーネット記者とのインタビューでそう主張し、「それは自分にとって容認できない」と語っていた。 7月、トロイ・メインク空軍長官はソーシャルメディアへの投稿で、すべての空軍兵士に対し、「政府のあらゆる法律と方針、個人の行動、政治参加、軍服の着用に関する規定を遵守する」ことを期待すると述べていた。 ワトソン少佐に対する命令不服従の訴追では、国防総省の規定で軍人が党派的な主張を表明することを禁じているにもかかわらず同少佐がそれに違反したこと、議会議事堂での記者会見で「不適切に」軍服を着用したこと、休暇規定に違反して首都ワシントンへ出かけたこと、そしてCNNのインタビューを受けた翌朝、軍服の着用を拒否したことなどを挙げている。 空軍検察官はまた、ワトソン少佐による連邦議会議事堂での抗議行動とCNNのインタビューは「士官にあるまじき行為」に該当すると主張している。 弁護士のムティマー氏はCNNの番組で、自身の依頼人について「身の安全のため、事実上独房に収容されている」と語った。 7月に抗議活動を組織した団体「リムーバル・コアリション」の創設者、ジェシカ・デンソン氏は当時CNNに対し、ワトソン少佐は自身の行動に伴うリスクを認識しつつ、メールで連絡を取ってきたと語った。 軍法会議で「公務員侮辱罪」に問われるケースは珍しい。CNNの調査によると、1951年に現在の軍事司法統一法典が制定されて以来、そのような事例はわずか2件しか確認されていない。 元陸軍法務官で、ミシシッピ・クリスチャン大学の准教授を務めるフランク・ローゼンブラット氏はCNNに対し、軍法会議の判事や陪審員に提供される指針において、「侮辱的」な言葉の基準は「そこまで明確ではない」と述べた。 ローゼンブラット氏は、第88条における「侮辱的な」発言について、「侮辱的、無礼、軽蔑的な行為、あるいは他者に対して卑劣さ、不名誉、または無価値といった性質を不敬な形で当てはめる振る舞い」を指すと説明した。 同氏は、ワトソン少佐の発言が大統領に対して「真実あるいは正当な批判かどうか」を判断するために、第32条手続きと呼ばれる公判前審理が必要になる可能性があると示唆した。 空軍にコメントを求めたが現時点で応答はない。19日のCNN宛ての声明の中で、空軍報道官はワトソン少佐について「無実と推定される」とし、「(当人の)事件が軍法会議に付託された場合」はワシントン空軍管区が裁判を監督すると述べた。