香港、天安門事件追悼集会の主催者らに拘禁刑 国安法違反で

コー・ユー記者、BBC中国語 香港の裁判所は11日、中国で1989年にあった天安門事件を追悼する集会を毎年開催していた香港の活動家3人に対し、5年2カ月〜7年3カ月の拘禁刑を言い渡した。 李卓人氏(69)と鄒幸彤氏(41)は今年8月、中国によって導入された「香港国家安全維持法(国安法)」に基づき、国家政権転覆扇動罪で有罪判決を受けていた。両氏と共に起訴された何俊仁氏(74)は、1月に有罪を認めていた。 香港はかつて、民主化運動を弾圧した天安門事件の死者らを追悼する人々が集まることができる、中国領土内の数少ない場所の一つだった。中国本土では、天安門事件について間接的に言及することも当局が禁止している。 李氏、鄒氏、何氏の3人は2021年に起訴された。有罪判決を受け、最大10年の拘禁刑を受ける可能性があった。 裁判所はこの日、李氏に拘禁7年、鄒氏に拘禁7年3カ月の実刑判決を言い渡した。罪を認めていた何氏には、拘禁5年2カ月が言い渡された。 傍聴席は満席で、裁判が始まると鄒氏は立ち上がり、傍聴席の人々に向かってほほ笑んだ。何氏は真剣な表情をしていた。 また、李氏は退廷の際に祈っているように見えた。一方、鄒氏は傍聴席の人々にキスを送った。 8月の判決の概要によると、李氏と鄒氏は「国家政権転覆を目的として、違法な手段による行為を組織、計画、実行、または参加するよう他者を扇動した」とされた。 鄒氏は5月に法廷で、裁かれているのは国安法そのものだと述べていた。 争点となったのは、両氏が所属していた民主派団体「香港市民支援愛国民主運動連合会」(HKA)のスローガンである「一党独裁の終結」だった。裁判所は、これが人々に中国共産党を転覆させるよう扇動したと判断した。 李氏の妻の鄧燕娥氏はロイター通信に対し、きょうは自分にとって「悲しい日」だと語った。 「彼がさらに3年も刑務所で過ごさなければならないなんて想像もできない。本当に受け入れがたい」と鄧氏は述べ、李氏が控訴する意向だと明らかにした。 鄒氏の母親の劉華珍氏は、裁判所の外に集まった群衆に対し、判決について「過度に悲しむ」必要はないと語った。ロイター通信は、劉氏が「落胆しないでほしい。そして何よりも、罪悪感を抱かないでほしい」と述べたと報じた。 鄒氏は2021年6月4日に逮捕される直前、BBCの取材に対し、「逮捕を覚悟している。これが香港の現状だ」、「私は民主主義を求めて闘うためなら、代償を払うことはいとわない」と話していた。 拘禁刑が言い渡された3人は、現在は解散となったHKAの指導者だった。 HKAは1989年5月に、民主化集会を開催する学生を支援するために設立された。その数週間後、中国共産党は北京の天安門広場で行われた民主化デモを、軍隊と戦車で鎮圧した。その際の死者数は、数百〜数千人と推定されている。 その後30年にわたり、HKAは当局に対し、弾圧の責任を認め、拘束した反体制派を釈放し、民主的な改革を実行するよう求めていた。 HKAは毎年、天安門事件を追悼する集会も開催していた。主催者は、こうした集会には10万人以上が集まったこともあると述べていたが、警察の推定参加者数はそれよりも少なかった。 当局は2020年、新型コロナウイルス対策を理由にこうした集会を禁止し、その後は再開されていない。 またこの年には、中国からの分離独立、政権転覆、テロ行為、外国勢力との共謀とみなされるあらゆる行為を犯罪とする国安法が施行された。 国安法について当局は、社会の安定を維持するために必要だと主張しているが、体制に批判的な人々は、同法が香港の自治を損ない、怖れの空気を生み出したとしている。 裁判所は10日、HKAに対し、150万香港ドル(約300万円)の罰金を科した。 人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルの東アジア・太平洋地域担当のサラ・ブルックス副局長は、「今回の判決は、不当に処罰された活動家たち、天安門事件の生存者たちや犠牲者たち、そして現代中国史における最も重要な出来事の一つについて議論する機会を奪われた香港の人々にとって、三重の悲劇だ」と述べた。 人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)」は声明で、「平和的な天安門追悼集会の主催者たちに対する厳しい判決は、記憶と国民を恐れる政府の残酷さと不安定さを露呈している」と述べた。 (英語記事 Hong Kong's Tiananmen activists sentenced to up to seven years in prison)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加