9月13日に投開票された和歌山県議補選(和歌山市選挙区、欠員3)で、元和歌山市長の旅田卓宗氏が3番目の得票で43年ぶりに当選し、県議に返り咲いた。旅田氏に話を聞いた。 * * * 「今81歳で、組織もカネもない選挙戦で、なんとか滑り込みました。私のような落ちこぼれでも、やればできるんだと思いました」 旅田氏はうれしそうに語った。 ■市長時代の収賄と背任で実刑判決 波乱万丈な人生だ。警察官から政治家に転身。1971年に26歳で和歌山市議に初当選。1期目の途中、74年に和歌山県議にくら替えして、通算3期務めた後、86年に41歳で和歌山市長となった。 和歌山市長時代はタバコの吸い殻やごみの「ポイ捨て禁止条例」を制定するなどアイデアマンとして知られた。和歌山市の清掃業者が政策に反発してストライキを起こすと、自らバキュームカーに乗りホースを握って、し尿回収にあたったエピソードは有名だ。 しかし2001年、市が高額で借り上げる契約を結んだ料亭の若女将との関係を、写真週刊誌が報じた。市議会は旅田氏に対する辞職勧告決議を可決したが、旅田氏は辞職しなかった。それでも、02年7月に公立大学構想が議会で否決されると、「民意を問う」と旅田氏は辞職。出直し市長選に出馬したが、落選した。 落選後の03年1月、市長時代に和歌山市内の料理旅館の買収の過程で300万円の賄賂を受け取ったとして、収賄容疑で逮捕される。だが、勾留中の4月にあった和歌山市議選に獄中立候補すると、まったく選挙運動をせずにトップ当選。その後、7月には料亭の借り上げで市に損害を与えたとして背任容疑で再逮捕された。 05年に逮捕から777日ぶりに釈放されると、刑事裁判中の06年に和歌山市長選に出馬し、落選。07年には和歌山市議選で3度目の当選を果たしたが、10年に収賄と背任で実刑判決が確定し、市議は失職して収監された。 13年まで服役して出所したが、被選挙権を失って政治から離れざるを得ず、「もう政治家引退」と記者にも語っていた。それが、23年に被選挙権を回復すると、今年8月の和歌山市長選に出馬して周囲をアッと驚かせた。だが、結果は惨敗。そのときは再び、「今後、政治活動をすることはありません」と語った。 ところが、1カ月もたたないうちに県議補選にまた出馬し、当選を果たした。 「市長選ではボロ負けで、長いブランクと、事件で逮捕されたという古傷をあちこちから掘り返されて、いじけるような選挙戦になっていた気がする。もう過去のことを何と言われようが、自分の主張をしっかりとやっていく、そういう選挙をすべきと決意した。それが当選できた理由かと思います」