投獄リスクに直面しながら、ウクライナ和平を訴えるロシア下院選候補の「孤軍奮闘」

ロシアでウクライナへの全面侵攻後初となる下院選挙が迫る中、リベラル系「ヤブロコ党」の候補、ポリナ・レルマント氏(24)が果敢に選挙戦を戦っている。ヤブロコは、ロシアで登録された政治勢力の中で唯一、ウクライナでの戦争に反対している。ロシア最高裁判所は、すでにヤブロコが政党として下院選挙に参加することを禁じたほか、レルマント氏によるとモスクワで同党の候補者が当局に身柄を拘束されたという。 ◇ 「こんにちは、平和に一票を」 「いや、結構だ」 反戦を訴え、ロシア下院選に出馬したポリナ・レルマント候補。だが、その背後に立つ看板は、ウクライナ戦争への支持を呼び掛けている。 レルマント候補は、リベラル政党「ヤブロコ」から出馬している。2022年にウクライナへの全面侵攻が始まって以降、ロシアで初めての下院選挙だ。 そしてこれは、勇気がいる行動だ。 ヤブロコ党 ポリナ・レルマント候補 「モスクワで候補者の一人がすでに拘束された。もう一人は今日、候補者リストからの排除を審理する選挙管理委員会に出頭することになっている。私は本当に、本当に怖い。両親も夫も、私のことをとても心配している」 ヤブロコは、ロシアで登録された政治勢力の中で唯一、ウクライナでの戦争に反対している。同党はロシアがウクライナでの停戦に合意することを求めているが、ロシア政府はこれを拒否している。 ロシア最高裁判所は2026年8月の決定で、届け出のない選挙資金支援を受けたなどとする主張に基づき、来たる下院選挙にヤブロコが政党として参加することを禁じた。 政権与党でプーチン大統領を支持する「統一ロシア」はこの選挙で、優位を難なく維持するとみられている。しかし専門家によると、投票の結果は、ウクライナとの戦争に対する国民感情を読み解く手がかりになる可能性がある。 「今こそ投票で平和を選ぶ機会があるのだと人々に伝えることが、非常に重要だ。(選挙で)自らの政治的立場を表明できる。平和や、恐怖のない生活、自らの利益が考慮される社会、そして外国と平和な関係を持つことを訴えている」(レルマント候補) 現在のロシアでは、公然と異議を唱える余地はほとんどない。ロシア政府は、ウクライナが国内で不安をあおろうとしていると主張し、検閲の必要性を訴えている。軍の信用を傷つけたり、当局がウソと見なす情報を拡散したりすることは、長期の禁錮刑の対象となる。そして多くの地域では、ウクライナのドローン攻撃の被害状況を撮影しオンラインに投稿することも刑事犯罪となる。 それでもレルマント候補は、和平交渉への国民の支持の高まりを示す世論調査に勇気づけられたと語った。ロシア当局が「外国の代理人」と指定する独立系調査機関レバダセンターの世論調査では、和平交渉への国民の支持が60%を超えている。 レルマント候補はまた、政府系の世論調査機関のデータにも言及し、大半の候補者が選挙から排除される前の段階で、ヤブロコへの支持が高まっていたと述べた。 一方、リベラル寄りの政党「新しい人々」から出馬した、アントン・マリシェフ候補はウクライナ問題への踏み込んだ発言は避けている。ロシア国民は早期の長期的な平和実現と、戦闘終結後に国が繁栄できる態勢に置かれることを望んでいる、と述べるにとどめた。これはこの問題に関するロシア政府の見解とおおむね一致している。 「統一ロシア」に加え、「新しい人々」と現在議会に議席を持つ他の4政党も議席を維持するとみられている。 反戦政党のヤブロコは、党員の逮捕や投獄によって足かせをはめられており、下院の議席を獲得する可能性は低い。 *本文の誤字を修正し再送しました。

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