フランスで教育環境の改善を求める高校生の抗議活動が3週目に入り、6日は各地で高校生らとともに教師や保護者が街頭デモに参加した。首都パリのほか、ストラスブール、レンヌ、トゥールーズなどの都市で警察はデモ行進の周辺で暴徒化した集団を排除するため催涙ガスや放水砲を使用。内務省によるとデモには全国数十都市で25万人を超える人が参加した。この日のデモはこれまでで最大規模。主催者側は45万人が参加したとしている。ルコルニュ首相は議会で、これまでの衝突で少なくとも生徒215人と学校職員85人が負傷したと明らかにし、「教育現場が払った犠牲としては数十年で最も大きい」と述べた。首相府によると、これまでに700人を超える警察官が負傷。内務省によると、この日のデモで488人が拘束され、治安要員48人が負傷した。BFMテレビによると、マクロン大統領はこの日、事態への対応を協議するためにルコルニュ首相と関係閣僚を招集し緊急会合を開催した。ルコルニュ首相は高校生らが掲げる主要な要求への対応を関係閣僚に指示。老朽化した校舎の改修についても検討すると表明し、関係閣僚に対し今月末までに最初の提案を取りまとめるよう要請した。高校生らは欠員教員の補充のほか、午前8時から午後6時までに及ぶ授業時間の見直し、昼休み時間の延長などを要求している。フランスで抗議活動が拡大していることについて、トランプ米大統領は「制御不能となった」移民問題の証拠だと主張。自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に「これは学校を巡る問題ではない。かつて偉大だった国をイスラム教が支配しようとしているという問題だ」と投稿した。ただ、フランスの高校生の要求は人員不足や教育予算の不足への対応で、宗教や移民問題に関するものではない。フランスの極右政党「国民連合(RN)」を率いるマリーヌ・ルペン氏も、今回の抗議行動をフランスの移民政策と結び付けていない。この件に関して、ロイターは仏首相府からコメントを得られていない。<各地でデモ、パリでは約300人が治安部隊と対峙>マルセイユやナントでは、参加者が「国が教育を壊した」などと書かれたプラカードを掲げ、デモはおおむね平穏に行われた。トゥールーズでは、保護者が腕を組み、市内を行進するデモ隊の先頭に立った。一方、ストラスブール、リヨン、レンヌではデモが時折、暴力的な衝突に発展。抗議参加者が路上で火を付けたりする事態となり、警察が催涙ガスを発射して鎮圧に乗り出した。パリ警察によると、パリではフードやマスクで顔を隠した約300人が治安部隊と対峙。複数の店舗が損壊するなど被害を受けたものの、デモ自体はおおむね大きな混乱なく行われたという。抗議活動は2週間前にパリ郊外の貧困地区で始まり、全国に広がった。パリでは「催涙ガスではなく、私たちの声に耳を傾けて」「私たちの未来を後回しにするな」と書いた横断幕が掲げられた。高校生団体によると、国内の高校の半数超が封鎖されるか、休校になった。一部の地方教育当局は授業のオンライン移行を試みている。<デモ開始以来6100人逮捕、大多数が未成年>人権団体や学生団体、保護者団体は、当局が未成年者に対して過剰な実力行使を行っていると非難。これに対し政府は、抗議運動が部外者に乗っ取られ、一部では都市型暴動へと発展したとの認識を示している。内務省によると、抗議活動の開始以来6100人が逮捕された。大多数が未成年という。未成年1483人を含む1800人超が訴追されているが、司法省は罪名は明らかにしていない。大統領選を6カ月後に控え、政府と極右政党・国民連合は急進左派「不服従のフランス」(LFI)の議員や市長らが抗議活動をあおっていると非難。LFIはこうした非難を否定している。