10月2日、朝8時50分ごろ。警視庁湾岸署から出てきた1台の車。その後部座席に仏頂面をして乗っていた元力士の男は、集まった報道陣に驚いたのかキョロキョロと眺める。すると、やがてなぜか満足そうに満面の笑みを見せたのだった──。警視庁捜査3課は9月30日、横浜市の無職・田口智也容疑者(34)を窃盗の容疑で逮捕した。昨年11月に東京都板橋区のドラッグストアで、整腸剤9点(販売価格約4万8800円)を店内で自分の手提げバッグに入れ、そのまま店を出て万引きした疑いだ。「警視庁は今年4月に千葉県内のドラッグストアで起きた別の万引き事件で、30代の男ら2人を窃盗容疑で逮捕。男らの供述などから田口容疑者が浮上しました。警察は田口容疑者を、ドラッグストアを狙って窃盗を繰り返すトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)の指示役とみています。その一方で今回逮捕された事件のように、田口容疑者が自ら実行役をすることもあったようです。SNSに『高時給』と投稿して実行役を募り、これを見つけて応募した人間が、グループに加わっていました。田口容疑者は、メンバーに万引きする商品や実行日時などを指示し、盗品の定価に応じて報酬を支払っていたそうです。盗品は何者かに売りさばいていたとみられます。調べに対しては『弁護士と相談して話す』と話しているということです」(全国紙社会部記者)田口容疑者は過去には大相撲の力士だった。「田口」のしこ名で最高位は三段目。’13年に引退している。警察では携帯電話の解析などから、田口容疑者らは十数人のグループで、昨年6月〜今年4月にかけて、各地のドラッグストアで化粧品など計約40点(販売価格計約1400万円)の窃盗被害に関わったとみて捜査しているという。ある事件ライターは「特殊詐欺や強盗で問題になった『闇バイト』と同じような仕組みが、万引きにも広がっている」と指摘する。「ドラッグストアが狙われたのは、医薬品や化粧品などは比較的小さく、持ち運びやすいわりに単価が高いからでしょう。さらに一定の需要があって転売もしやすい。短時間に大量に盗めば効率よく現金化できます。警察は昨年6月〜今年4月までの窃盗被害1400万円との関連を捜査していると発表していますが、その後、関連する被害総額が5000万円になるとも報じられています。数万円の万引きも各地で何回も繰り返していけば、最終的には数千万円規模の犯罪になる。しかも、実行役をSNSで次々と入れ替えながら犯行を続けることができる。こうした『少額・多数・広域』の窃盗は、まさに匿名・流動型犯罪グループの特徴を活かした犯罪形態といえるでしょう」今回逮捕された田口容疑者は指示役だったとのことだが、さらに彼に指示をしていた人物がいる可能性もある。多様化し、拡大を続けるトクリュウ型犯罪を止めることはできるのだろうか。※「FRIDAYデジタル」では、皆様からの情報提供・タレコミをお待ちしています。下記の情報提供フォームまたは公式Xまで情報をお寄せ下さい。情報提供フォーム:https://friday.kodansha.co.jp/tips公式X:https://x.com/FRIDAY_twit