1日10時間勤務…特殊詐欺かけ子の雇用契約書か、広島県警が公表

特殊詐欺の電話をかける「かけ子」役を海外に移送する目的で誘拐したとして、広島県警は13日、広島市安佐南区の会社役員の女(32)と長崎市西北町の無職の男(43)を所在国外移送誘拐などの容疑で再逮捕し、発表した。女は容疑を否認、男は「犯罪の実行役として勧誘はしていない」と供述しているという。 県警によると、2人は3~4月、無職の男性(22)を「お金を稼ぎたいならいい仕事がある」などと勧誘し、福岡県内から大阪府の関西空港まで移送した疑いがある。2人は別の男性に対する所在国外移送誘拐未遂容疑などで逮捕されていた。 県警が、22歳の被害男性が受け取ったというスマートフォンを調べたところ、報酬のやり取りや雇用契約書とみられるものが残っていたという。 報酬のやり取りでは「基本給は3200ドル」「5月は基本給あり、来月からは基本給なし」などの文言があった。なかには「1線4%、2線5%」という文言も。「線」は特殊詐欺の分担作業内容を示すもので、「%」は報酬歩合を表すものと県警はみている。 かけ子と犯罪グループとの間の雇用契約書とみられる書面では、業種は「営業・営業補佐」で、勤務時間は「1日10時間勤務」と記されていた。休日は「日曜日」、契約期間は「半年」、賃金は「アポインター 基本給なし 業績6%」「クローザー 基本給なし 業績7%」とあった。 かけ子のためのマニュアルとみられる画像も見つかった。警察官役を名乗った上で「近くに他の方はいませんか」「念のため部屋のドアを閉めて鍵を掛けてください」などと話すよう求めていた。(山中由睦)■かけ子の電話対応マニュアルとみられる文面(一部抜粋、原文のまま) こちらは大阪府警の××です。 事件番号を伺ってもいいですか? また、ご本人様のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか。 なぜ、×月に当地裁判所から送付された二度の出頭命令に対し、対応されなかったのでしょうか? 現在の状況について、十分ご理解されていないということですね? では、詳しくご説明いたします。 先月、大阪警察では大規模な金融マネーロンダリング事件を摘発しました。 逮捕された犯罪者の自宅から、多数の個人番号カードや運転免許証、そして100枚以上の銀行カードを押収しました。うち1枚、下4桁が7735のゆうちょ銀行のカードが、○○さんの個人情報で開設されていることが判明しました。 そのため、○○さんご本人に事情をお伺いする必要があります。 私たち大阪府警には、きちんとした捜査手順があります。警察官として長年この仕事をしてきましたが、あなたにやり方を教わる必要はありません。 あなたはLINEをお使いですか? お使いであれば、当署の捜査専用LINEを追加していただき、LINE通話にて事情聴取を進めていきます。 それからお伝えしますが、本日があなたの出頭説明の最終期限になります。今の段階で当警察署に直接お越しいただけない以上、警官としてあなたをお助けできる唯一の方法は、当署の録音システムをLINE通話に接続し、正式な調書として記録を残すことです。 これは、実際に大阪府警に来ていただいた場合と同じく、法的効力を持つ手続きとなります。以上の内容について、あなたはご同意されますか? 現在、この案件は国家によって「捜査非公開案件」に指定されており、まだ捜査段階にあります。ですので、捜査が完全に終了するまでは、この件に関する内容や、当署の捜査方針については、他の方に一切話さないようにしてください。(相川智)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加