「教え子ならばれないと思った」 子どもを守る立場から性加害者に転じた教師の驚くべき言い分

子どもを守り、教育するはずの教師による性犯罪が後を絶たない。盗撮やわいせつ行為、教え子への性的加害など、学校現場で起きた事件は深刻な社会問題となっている。朝日新書『なぜあの子が性加害者になったのか』から、教師による性犯罪の実態を一部抜粋して紹介する。※この記事には性加害・性暴力に関する記述が含まれます。つらくなりそうな方は、無理に読み進めないでください。* * *■教師の性犯罪事件 近年、人を教育すべき立場にある教師による性犯罪がネットニュースで見ない日がないくらい勃発しています。2025年に文部科学省から公開された「令和6年度公立学校教職員の人事行政状況調査について」によりますと、性犯罪・性暴力等で処分を受けた教員は281名。この傾向は近年持続しており、毎年200人以上になります。そのうち、令和6年度は児童生徒性暴力等が134人だったといいます。内訳をみますと、性交が38人、盗撮・のぞきが34人、体に触るが31人、接吻が18人と多く、大半が勤務時間外で行われていたようです。2021年には「教員による性暴力防止法」が成立していますが、より事件が発見されやすくなったのか、人数は増加傾向にも見えます。 最近、特に大きなニュースとなったのが2025年にあった名古屋市の小学校・中学校の教員らによる児童盗撮事件です。盗撮メンバーは北海道から岡山県まで5都道県の小中学校にまたがり、学校等で盗撮した女児らの画像や動画を秘匿性の高いアプリを使ってグループチャットに投稿し合い、感想などの書き込みがされていたといいます。教室の机に小型カメラを設置したりして、被害児童は65名以上に及びます。メンバーには学年主任や、校長や教頭を補佐する立場の教員もいました。そして盗撮だけでなく、自身の体液を児童の楽器に付着させた教員もいたそうです。保護者は娘にスカートではなくズボンで登校させるようになるなど、学校への不信感を強めています。 こども家庭庁がこども性暴力防止法の準備にあたり用意した資料には、2025年に事件として報道された教員による子どもへの性加害が毎週のように記載されています。こういった事件はおそらく氷山の一角でしょう。教師の児童への性犯罪は今に始まったわけではなく、昔からたびたび起こっています。 2014年には沖縄県の中学校内で、当時中学3年生の女子生徒が部活動の副顧問だった40代男性教諭から突然キスをされるなどのわいせつ行為を受け、高校進学後にその女子生徒が自殺した事件がありました。休日に女子生徒を呼び出して手をつなぐ、抱きつく、下着を触る行為もあったといいます。 被害は女子生徒だけでなく男子生徒にもみられます。2020年、大阪市内の私立高校元講師で野球部のコーチだった男が男子部員14人に不同意わいせつや不同意性交等致傷を行った疑いで逮捕されました。男は「教え子であればばれないと思い、繰り返しやった」「約10年前から体を触ったり、わいせつな画像を送らせたりした」と供述し、懲役12年を求刑されました。この男は元甲子園球児だったそうで、被害を受けた生徒たちは「誘いを断ると練習やレギュラーから外される」と説明したといいます。同高校では、かつて男子柔道部員が女子更衣室の〝のぞき〞をしていたという報道もありました。 2026年3月には高校教諭(当時62歳)が教室で女子生徒を盗撮しようと、サンダルに仕込んだ小型カメラを女子生徒2人のスカートの下に差し向け、性的姿態等撮影未遂の疑いで逮捕されました。年齢を重ねた大人として情けなくなる事件です。 小学生を狙った教師による犯行もたびたび見られます。2018年に小学校教師が4人の女子小学生に対して複数回、不同意わいせつを行った事件がありました。関東地方の小学校3年生の担任だったXはある朝、音読カードを忘れた女子児童Aを強く叱責します。その後、Xは給食の時間にAに対し、音読カードを忘れたことを許してあげるとしてXの机まで来るよう呼び掛けました。机の前まで来たAに対し、「怒った先生と今の先生どっちが好きか」等と尋ねながら、Aがはいていたキュロットスカートの裾の部分、下着の横から右手を入れて、Aの陰部を触りました。Aは逃げようとしましたが、Xから何で逃げるのか等と言われ、逃げられませんでした。 さらにXは、他日、休み時間に教室において、机付近に女子児童Bを呼び、Bがはいていたスカートやスパッツのゴムの入ったウエスト部分、下着の中に手を入れて陰部を少なくとも2回触っています。その他にもBが授業中に尿意を催してトイレに行きたいと言った際にも少なくとも6回、着衣の上から膀胱付近を押して触りました。 またXは、ある放課後、教室において、別の女子児童Cを含む複数の児童に対し、居残りで勉強を行うよう指示し、課題が終わったCに対し、「ご褒美」と称して机付近でスカートの中に手を入れて少なくとも2回陰部を触りました。さらに同校で、「遊び大会」という行事が開催されたのですが、Xは頑張ったCに対し「ご褒美」と称して、衣服の中に手を入れ陰部を触りました。他にもXは、授業が始まる前に机付近に別の女子児童Dを呼び、スカートのウエスト部分や裾部分、ズボンの腰の部分、下着の中に手を入れて陰部を触っています。 このうちのある児童がPTSDを発症し、市に損害賠償を求め、地方裁判所は慰謝料など計330万円の支払いを市に命じています。その後、Xは懲戒免職となりましたが、刑事事件ではPTSDの影響でその児童は被害を証言できず、不起訴処分になったといいます。(朝日新書『なぜあの子が性加害者になったのか』第1章「性犯罪を止められない人たち」から一部抜粋)* * * 子どもを守る立場の人ですら性犯罪に及ぶのはなぜなのか。そこには単なる性欲や人格の問題だけでは説明できない要因があります。ニュージーランドの心理学者トニー・ワードらが提唱した性犯罪統合理論によると、その背景には「生物学的要因」「環境的要因(生態学的ニッチ要因)」「心理学的要因(神経心理学的要因)」の3つがあるといいます。朝日新書『なぜあの子が性加害者になったのか』では、事例やデータをもとに、性加害を起こす背景とその予防のあり方を提言しています。

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