熊本県荒尾市の児童養護施設シオン園に入所していた20代女性が、男性職員から性的虐待を受けたとして、施設側の責任を明らかにするために熊本地裁の法廷に立っている。養護施設は行政の委託で子どもを預かっているため、職員の行為についての賠償責任は行政が負うとするのが判例だ。それでも施設側を相手取り裁判に踏み切ったのは、施設側に「反省の態度」が感じられなかったから。このままでは、同じことが起きてしまう-。女性は声を上げた。 「父親の愛情だよ」。シオン園にいた女性は中学2年だった2014年ごろ、男性職員から性的虐待を受けるようになった。実の父親が暴力的だったという女性に対し、男性職員は性的虐待を〝愛情〟と表現したという。 高校1年の時には妊娠が分かり、人工妊娠中絶手術を受けた。男性職員は21年に熊本県警に逮捕され、22年には児童福祉法違反の罪で懲役1年10月の実刑判決を受けて服役した。 施設側は「道義的責任はある」と言葉を並べたが、女性には、反省の姿勢とは見えなかった。女性は25年6月、施設を運営する熊本市の社会福祉法人慈愛園と当時の施設長に、連帯して2200万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。