フィラデルフィア(CNN) 娘が行方不明になったあの夏、母親は足が痛くなるまで、米フィラデルフィアのケンジントン地区を隅々まで歩き回った。麻薬犯罪がはびこるこの街に、当時27歳だったニコール・フサロさんは暮らしていた。母のダイアン・フサロさんは友人たちと共に、サンドイッチに添えたチラシを配り、娘の消息につながる手がかりを探し続けた。「どうか娘を探すのを手伝ってください。8日前に行方不明になって以来、見た人も、声を聞いた人もいません」。2018年7月26日、ダイアンさんはフェイスブックにそう書き込んだ。投稿に添えた自撮り写真のニコールさんは、長く黒い髪に青い目をしていた。何十人ものユーザーがこの投稿を共有して、捜索に協力すると約束した。ダイアンさんは20年、娘の身に何が起きたのかを知らないまま、亡くなった。「ニコールさんがいなくなって以来、死ぬまでずっと、起きている時間はニコールさんを見つけようとし続けていた」。おいのジョナサン・ハロランコレンさんは、ダイアンさんをしのんでそう語った。ニコールさんが失踪した8年後の26年9月、警察からハロランコレンさんに連絡が入り、ニコールさんは絞殺されていたと告げられた。フィラデルフィア市のオルニー地区にある住宅で見つかった動画に映っていたという女性は、ニコールさんに違いないとハロランコレンさんは確信した。警察によると、動画には男が結束バンドで女性の首を絞めて殺害したと思われる場面が映っていた。地元紙フィラデルフィア・インクワイアラーによると、男はかつてこの家に住んでいて、昨年死亡したレイモンド・ホーシュ容疑者で、暴力シーンを描いたアダルト映画の制作が仕事だった。ニコールさんは、この家にかかわった7人の女性の中の1人だった。警察は、過去数カ月の間にこの家で見つかった写真や動画から、うち5人は死亡した可能性があると見ている。ただ、遺体は見つかっておらず、殺害を裏付けるDNAなどの物的証拠も見つかっていない。警察がこの家に行き着いたのは、ホーシュ容疑者の息子のユージーン・ホーシュ容疑者(44)が6月に逮捕されたことがきっかけだった。ただしユージーン容疑者は、女性の失踪や死亡に関連した罪には問われていない。警察は9月の時点で、ユージーン容疑者の姿が映った動画は見つかっていないと説明した。10月に入ってフィラデルフィア警察と米連邦捜査局(FBI)は再びこの家の捜索に乗り出し、犯行の裏付けとなる物的証拠を探している。