沖縄の海岸に当たり前のようにいる天然記念物、オカヤドカリ。「ネット通販」の普及で、世界のどこからでも購入は容易になった。しかし、中国などでオカヤドカリ類の人気が高まる一方で、取り子の特例は世襲や権利譲渡が許されないため、合法的な捕獲が減って密猟が横行し、オカヤドカリ類は危機に瀕している。【目次】- 合法な取り子はすでに高齢、引退間近か- 半世紀以上前の矛盾を抱えた制度の前提が崩れている- 密猟の手口は深刻化 小型個体まで根こそぎ■合法な取り子はすでに高齢、引退間近か1972年に、沖縄県の取り子だけに特別に認められた、オカヤドカリの捕獲。取り子はあと何人残っているのか。許認可に関わる県教育庁・文化財課に尋ねたが、「年々減少していると言えるが、業者数及び人数は申請内容に関わるため、回答できない」として公式な情報は得られなかった。このため筆者は、正規の販売業者のA氏の仲介で沖縄本島に住む取り子に連絡を取り、取材を申し入れた。氏名や組合での役職も分かっている人物だが、「表に出たくない」との意向がA氏を通じて伝えられ、直接取材も実現しなかった。A氏に聞くと、A氏に25年来オカヤドカリを卸すこの取り子の年齢はすでに80代の高齢だという。A氏によると、他に沖縄本島中部に住むもう1人の取り子も年齢は80代。筆者は話を聞いて驚いた。合法にオカヤドカリを取ることができる取り子は、この2人しかいないというのだ。■世界に愛好家がいるオカヤドカリ、合法的捕獲者は残り2人? 念のため天然記念物行政を担う文化庁にも確認した。オカヤドカリ類がいるかもしれない場所を工事する場合や、学術研究目的の採取には、許可を得れば、移動させたり捕獲したりすることが認められる。しかし、商業目的での捕獲が特例で認められている人は、沖縄県の取り子のほかにいない、という回答があった。「残る取り子は2人」という確証は最後まで得られなかったが、取り子は代替わりできず、54年前から現役である人に限られていることを考えれば、そう多くはないことは疑いがない。