カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作「シンプル・アクシデント 偶然」のジャファル・パナヒ監督が、イランのイスラム革命裁判所から欠席裁判で懲役5年1カ月の判決を受けたことがわかった。現時点では収監されていないという。米ハリウッド・レポーターが報じた。 テヘランを拠点とする独立系映画ジャーナリスト、マンスール・ジャハニによると、テヘラン革命裁判所第26支部は、パナヒ監督が所有する動産と不動産を含む全資産の没収に加え、2年間の出国禁止とSNS活動禁止を命じた。 ジャハニはハリウッド・レポーターに対し、現在イランに滞在しているパナヒ監督が、長年にわたる政治活動に関連する新たな司法判断を欠席裁判で言い渡されたと説明した。 パナヒ監督をめぐる法的手続きには、依然として不透明な点が残されている。第26支部は以前、監督に懲役1年と2年間の映画製作禁止を言い渡した後、再審を命じていた。当時、監督は「シンプル・アクシデント 偶然」のプロモーションのため国外に滞在していた。 同作はカンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞し、フランス代表としてアカデミー賞国際長編映画賞の候補にも選ばれた。 パナヒ監督の弁護士モスタファ・ニリによると、監督の銀行口座は先週、凍結された。2人が文化・メディア検察庁の判決執行部を訪れた際、法的な事前通知がないまま新たな欠席判決が下されていたことを知ったという。 ニリ弁護士はまた、2026年3月に帰国したパナヒ監督が、別の事件をめぐって先月、文化・メディア検察庁の捜査局第16支部に出頭したと説明。現在、監督は3件の刑事事件を抱えているとしている。 パナヒ監督は、イラン当局への批判的な姿勢から、過去にも繰り返し逮捕・収監されてきた。2010年には懲役6年に加え、映画製作、脚本執筆、海外渡航などを20年間禁じる判決を受けた。 2022年7月には同判決を執行するため逮捕され、テヘランのエビン刑務所へ収監。約7カ月後の2023年2月に釈放された。2025年12月には「体制に対するプロパガンダ活動」の罪で懲役1年と追加処分を言い渡され、控訴後も判決が維持された。 当局との対立が続くなかでも、パナヒ監督は映画製作を継続している。「白い風船」で1995年のカンヌ国際映画祭カメラドール、「チャドルと生きる」で2000年のベネチア国際映画祭金獅子賞、「人生タクシー」で2015年のベルリン国際映画祭金熊賞を受賞している。