長野通り魔事件 逃走犯逮捕 現場から3キロの自宅で 県警、執念の防犯カメラ「リレー捜査」

長野市のJR長野駅前で男女3人が刺されて会社員丸山浩由さん(49)が死亡、2人が重軽傷を負った事件で、長野県警の捜査本部は26日、軽傷を負った女性会社員(46)への殺人未遂の疑いで、長野市西尾張部の無職矢口雄資容疑者(46)を逮捕した。駅から東約3キロにある自宅アパートで身柄確保。黙秘している。 複数の防犯カメラをつなげる「リレー捜査」が重要な役割を果たした。県警は約220人態勢の捜査本部を設置し「防カメ捜査をメイン」(捜査幹部)に徒歩で逃走したとみられる容疑者の行方を追跡。一方、容疑者の顔や服装が鮮明に写った新たな画像を公開。寄せられた326件の情報も積み上げ、容疑者を特定した。 事件発生5日目となる26日午前7時ごろ、凶悪犯相手の態勢を組んで逮捕に着手。チェーンソーで何かを切るような音が聞こえ、爆発音とともに黄色い閃光(せんこう)が窓越しに見られた。その約20分後、特殊装備の捜査員に囲まれて姿を見せた容疑者。表情を変えることなく、捜査車両に乗せられた。身柄確保時、暴れることはなかったという。1人暮らしで、凶器とみられる包丁は見つかっていない。 事件は22日午後8時ごろ発生。3人が相次いで襲われ、丸山さんが死亡、男性会社員(37)が重傷で入院、女性は1週間程度のケガ。3人は容疑者とは無関係。無差別に襲撃したとみて、動機の解明を進める。 ≪3人兄弟の末っ子 小学生時代は活発≫ 殺人未遂容疑で逮捕された矢口容疑者は、国道近くのアパートに1人で暮らしていた。約1キロ南にある実家の近隣住民の男性(78)は、10年以上前に白い手ぬぐいを頭に巻いて歩く姿を見かけたという。長野県警が事件後に公開した画像と似通っており「まさかと思った。信じられない」と語った。 実家周辺の70代女性によると、3人兄弟の末っ子で、幼い頃に母親を亡くしたという。小学生時代に同級生らと遊んでいた姿が印象に残っているといい「活発で明るい性格だった。何が一体あったのか」と驚いた様子だった。 ≪被害者知人怒り「仲間を返して」≫亡くなった丸山さんの友人らは逮捕を受けて「安心する気持ちもあるが、丸ちゃんは帰ってこない。大切な仲間を返してほしい」と怒りをあらわにした。日本郵便社員として働き子供を育てる傍ら、サッカークラブのコーチも務め、子供たちに慕われた丸山さん。社会人チームで自身もプレーしていた。郵便局で同僚だった竹内和範さん(39)はよくサッカーの話をした。「自分に厳しく人には優しい素晴らしい人だった。配達で教え子の家に行くのがつらい」と悲しみに打ちひしがれていた。

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