朝日新聞阪神支局に「令和赤報隊代表」を名乗る抗議文や、おもちゃの銃などを送り付けたとして、兵庫県警公安2課は3日、脅迫と威力業務妨害の疑いで、静岡県富士市松本の会社員、武藤和宏容疑者(38)を逮捕した。抗議文は昭和62年の朝日新聞阪神支局襲撃事件の犯行声明をまねたような内容で、事件の被害者2人の写真も同封していたという。 逮捕容疑は5月3日午後5時50分ごろ、同事件の犯行声明を引用した抗議文や、おもちゃの銃などを入れた段ボールを、静岡県内から同支局宛てに発送し、社員らを脅迫。業務を妨害したとしている。同課は認否を明らかにしていない。 同課によると、抗議文は「令和赤報隊代表」と記し、同事件の犯行声明を模していた。5月7日に同支局に届き、支局長らが同日西宮署へ通報。防犯カメラなどの捜査から武藤容疑者の関与が浮上した。段ボールには事件で殺傷された記者2人の写真があり、複数の穴が開けられた状態になっていたという。 朝日新聞広報部は「事件を想起させる宅配物を同支局に送って脅迫することは許しがたい行為と考える。今後も兵庫県警の捜査に協力していく」とコメントを出した。 62年の事件は5月3日夜、目出し帽の男が支局に押し入り、銃撃された記者2人が殺傷された。報道機関に「赤報隊」を名乗る犯行声明が届き、未解決のまま平成14年に公訴時効が成立した。