『クジャクのダンス、誰が見た?』と『虎に翼』に共通点? “正反対”の松山ケンイチが鍵に

1月24日からスタートした、広瀬すずが主演を務める連続ドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)は、広瀬演じる山下心麦とリリー・フランキーが演じるその父・春生のほっこりした場面からスタートしたかと思いきや、心麦の留守中に家が突然火事になり、春生がそれに巻き込まれ、亡くなってしまうという急展開を見せた。 TVerで『クジャクのダンス、誰が見た?』をみる しかも、心麦には春生からの手紙が残されており、それによると春生は誰かに殺されることを予感していたらしい。そして「もし名前を挙げた人が逮捕されたら、下記の弁護士に頼んでその人の弁護を依頼してください」という言葉とともに記載されていたのが、松山ケンイチ演じる、弁護士の松風義輝だった。春生によると、春生が亡くなった事件の犯人として逮捕された遠藤友哉(成田凌)という男は冤罪だというのだ。 屋台のラーメンを一緒に食べるほど仲の良い父と娘、冤罪、そして法律の専門家を演じる松山。そんなシチュエーションに、NHK連続テレビ小説『虎に翼』(2024年前期)を思い出した人もいたのではないだろうか。 『虎に翼』で松山が演じた裁判官の桂場等一郎は、物事の本質を捉えた鋭い発言をすることが多かった。その点はすぐに「ざっくりとまとめると」と要約したがる松風にも似たようなところがある。だが、桂場が基本寡黙で、必要最低限しかしゃべらなかったのに対し、松風は「立て板に水」という言葉どおり、すらすらと話していく。でもその内容に過不足がないところや下手な冗談を挟まないところに、「弁」を仕事の道具としている弁護士らしさが滲み出ている。 さらに『虎に翼』では、“イマジナリー優三(仲野太賀)”、“イマジナリー花江(森田望智)”に代表されるように亡くなってしまった人や離れて暮らす人が、突如その場に現れる現象が話題となったが、『クジャクのダンス、誰が見た?』でも、途方にくれる心麦のもとに「お父さんはどっちにしろ心麦の味方だから」と“イマジナリー春生”が姿を表す。ただその姿は、冒頭で心麦とラーメンをすすっていた時よりもやや若い。心麦は父と再会しながら自身の幼い頃を回想していた。心麦の過去が大きなキーポイントとなりそうな本作では、これからもこのように“イマジナリー春生”が登場してくるのかもしれない。 では、本作の主人公である心麦が寅子(伊藤沙莉)と似ているのかというと、あまりそうではなさそうだ。寅子は“常識”と言われることに疑問を持ち、いつもいろいろなことに「はて?」を感じていた。しかし、心麦は素直な性格で目の前のことにあまり疑問を持たない。突然の春生からの手紙も何の疑いもなく本物と信じるし、本当に父を殺した可能性もある逮捕された遠藤が冤罪であるという手紙の内容もそのまま信じていた。だが、ただふわふわと生きているだけでもない。 松風から手紙やその内容が嘘である可能性を指摘された心麦は、怒ったように足早に事務所を去ろうとする。そして松風に向かって「私は、自分に腹が立っています。あなたのことを一回でも、『先生』と呼んだ自分に」と啖呵を切って出ていく。松風にも引けを取らない早口できびきびとした言い方だった。ここに、心麦の秘めたる心の強い一面が垣間見えている。 これから心麦と松風はバディとなって春生の事件、そして関連しているであろう22年前に起こった「東賀山事件」の真相にも近づいていくはずだ。今は、週刊誌記者・神井(磯村勇斗)から「保護者付きかよ」と言われる2人の関係だが、これからどのように変化していくのかに注目したい。 金曜ドラマ「クジャクのダンス、誰が見た?」 「このマンガがすごい!2024」にもランクインした浅見理都の同名漫画を実写化するヒューマンクライムサスペンス。クリスマスイブの夜に元警察官の父親を殺された娘が、遺された手紙を手がかりに真相に迫っていく。 TVerで『クジャクのダンス、誰が見た?』をみる

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