ブルックリン美術館が従業員40名の解雇を発表。インフレによるコスト高騰などで15億円の赤字予想

1000万ドル(約15億円)の赤字が見込まれているブルックリン美術館は、従業員40名の解雇と展示プログラムの規模を縮小することを2月7日に発表した。同館の館長を務めるアン・パステルナークは、声明で次のように説明している。 「当館は厳しい逆風に直面しています。インフレによる影響が運営予算に影響を及ぼし、日々の運営コストに数百万ドルが上乗せされ、資金調達が間に合っていません。パンデミック後も来場者数が伸び悩んでおり、資金難に拍車がかかっています」 昨年9月に創設200周年を記念した新ロゴを発表し、大々的なリブランディングを行ったばかりのブルックリン美術館だが、ポール・マッカートニーの写真展やアリシア・キーズ夫妻のコレクション展といった大規模展が多数の観客を動員した一方で、経費が収益を恒常的に上回っていた。パステルナークはこう語る。 「人件費は当館の最大の支出項目であり、運営予算の約70%を占めています。財政再編により、残念ながら人員削減は避けられません」 同館の発表によれば、今回のレイオフは美術館の各部門にわたって行われ、組合員および非組合員が対象となる予定。これに対し、ブルックリン美術館の従業員が加盟している労働組合「Local 1502」の代表者がHyperallergicに語ったところでは、美術館から解雇の知らせが送付されると連絡を受けたのは通知が送付される前日だったという。この代表者は、交渉の機会や十分な予告なしに組合員を解雇することは契約違反にあたる可能性があるとして、美術館の経営陣に対して業務停止命令書を送付したという。 ブルックリン美術館は、親パレスチナ派の抗議行動の標的にたびたびなっており、2023年12月には、イスラエルの兵器メーカーであるエルビット・システムズに投資し、イスラエル国防軍寄付基金を支援しているバンク・オブ・ニューヨーク・メロンからの資金援助を断つことを求めるデモが実施された。また、昨年5月に美術館敷地内で開かれた集会で、ニューヨーク市警との衝突の末に数十人の抗議参加者が逮捕され、捜査当局に対する批判がアーティストや活動家から巻き起こっていた。さらにその数週間後には、「アン・パステルナーク/ブルックリン美術館/白人至上主義のシオニスト」と記された横断幕がパステルナークや美術館幹部の自宅にかけられ、3人の活動家がヘイトクライム、テロ・脅迫行為、器物損壊の罪などで起訴された。

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