2001年に広島県福山市で当時35歳の女性を殺害した罪に問われた男に対し、広島地裁は12日、懲役15年の実刑判決を言い渡しました。無罪を主張していた被告の男は何を語ったのか。現場に残されたDNA型が被告本人のものといえるのかどうか。裁判の争点に裁判所はどのような判断を下したのか。20年間未解決だった事件の裁判を振り返ります。 殺人と住居侵入の罪に問われたのは、福山市西新涯町に住む無職・竹森幸三被告(70)です。 判決によりますと、竹森幸三被告は2001年2月、福山市明王台の住宅で当時35歳だった女性の腹部を果物ナイフで突き刺すなどして殺害しました。 逮捕後の取り調べで一度は自白していた竹森被告ですが、裁判では一貫して無罪を主張しました。 ■無罪主張の被告 裁判で何を語る 事件が起こったのは広島県福山市明王台。JR福山駅から西南西に2.5kmほど離れた場所に位置し、約1300世帯が暮らす住宅街です。 2001年2月6日、午後0時45分ごろに1軒の家から警備会社に異常を知らせる発報がありました。警備会社から、この家に連絡するも応答がないため警備会社が110番通報。 そして、午後1時ごろに警備員と警察官が家に到着。そこで腹部に果物ナイフが突き刺さった女性が発見されました。 被害にあったのは主婦の女性(当時35)。 夫(当時37)、長男(当時6)、長女(当時9ヶ月)の4人暮らしで、事件当時、家には女性と長女の2人がいたと見られています。 現場には犯人の物と思われる多数の靴跡や凶器の果物ナイフが残されていました。 しかし、いずれも大量に出回っている商品だったことや、犯人に直接結びつく有力な目撃情報もなかったことから捜査は難航しました。 ■未解決のまま20年 任意捜査から動いた事件 解決に至らないまま20年の月日が流れた2021年、事件が大きく動きます。 福山市内で「刃物のようなものを所持していた」として1人の男を任意で捜査。指紋やDNA型などを採取しました。